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【温室効果ガス 30%削減の衝撃】(3)排出枠取引 産業界は反対 (2/2ページ)
電力業界関係者は「欧州の排出枠取引はあくまでも金融取引の一種であり、金融機関や取引所が利ざやや手数料を稼ぐ手段に過ぎない」と批判する。
実際、CO2排出枠の価格は思惑先行で激しく変動している。昨年7月に1トンあたり4千円近くまで上昇した価格は、今年2月には同1千円前後に急落した。市場では「投資目的で購入した大手金融機関が世界同時不況による資金難で大量売却して価格が下がった」との観測が流れた。
また、企業に課す排出上限をどう公正に決めるかという問題もある。
財界幹部は「個別企業に排出上限を課す排出枠取引が導入されれば、それを決める政府が企業の生死を左右することになる」と懸念する。厳しい上限枠を課せられた企業は海外に生産拠点を移転し、「国内に残るのは海外に移転できない電力会社などの一部にとどまるのではないか」(経済産業省幹部)との見方すらある。
わが国の産業界は、日本経団連の自主行動計画にもとづいて各業界が削減目標を掲げ、温室効果ガスの排出削減を進めている。
この結果、省エネ化を進めた工場などの産業部門の排出量は、平成19年には京都議定書の基準年である平成2年と比べて2・3%の削減を達成した。エアコンなど家電製品の導入が進んで2年比で40%以上も増えた家庭部門と大きな違いをみせた。
日本経団連や鉄鋼業界などは昨年5月、民主党の要請に応じ、環境・エネルギー問題などの合同会議に出席し、温室効果ガスの排出削減に向けた自主的な取り組みなどを詳しく説明した。だが、民主党側からは何の質問も出ず、出席者からは「産業界の努力は評価されないのか」と落胆の声が漏れた。
日本経団連や業界団体はその後も機会をみつけて民主党に対して産業界の意見や要望を伝えている。だが、「民主党からは具体的な反応は何もない」(鉄鋼業界関係者)という。衆院選後に民主党が政権についた場合、産業界の声はどこまで届くのか。企業関係者は憂慮の色を深めている。
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