アトピー利権
「アトピービジネス」とは金沢大学医学部皮膚科教授の竹原和彦先生が1998年に皮膚科専門誌に提唱した造語である。
2000年には、文藝春秋から新書「アトピービジネス」が出版され、今まで整理されていなかったアトピー性皮膚炎に対する不適切な治療の数々、その背景を、一般の人たちも知る事が出来る最初のチャンスとなった。
しかし、新書「アトピービジネス」は医学的な知識のない一般の人たちにとって決して読みやすい書物ではなかったため、内容の素晴らしさとは裏腹に、それほど広く知られていない。
そして、すぐさまアトピービジネス関係者は書物「アトピービジネス」をいっせいに批判することとなる。
その批判の多くはネット上で行われ、インターネットで情報を収集することが多いアトピー患者さんの誤解、混乱は良書「アトピービジネス」発行後8年が経過する現在も収まらずにいる。
さて、ネット上で「ステロイド批判」、「脱ステロイド」を煽るアトピービジネス先導者はどういった人物達であろうか?
近畿地方で脱ステロイドを勧めるS医院は、ネット上において精力的にステロイド批判、プロトピック批判を繰り広げている。
しかし、実際に診察を受けた方たちの話を総合すると
「湿疹は見ずに、まず血液検査をされる。ダニ、ほこりがアトピーの原因と説明され、そして最後は関連会社の高額な布団用品一式のパンフレットを渡される。」という。
表面上は巨大な日本皮膚科学会を相手に一人戦う正義の味方を演出しているが、実際は個人の金銭的利益を追求するエゴイストに過ぎない。
また、ステロイド混入で薬事法違反となったピュアライン(蘇生院)元代表O氏は、医師ではないにもかかわらず医師免許証のコピーを販売元に見せて身分を偽ったり、経歴を詐称(朝日新聞社の取材で経歴詐称は認めている)することでアトピー患者をだまし、高額なクリームを販売していた。
一般的に皮膚科の外来をアトピー性皮膚炎で受診した場合、かかる費用としては診察代と薬代、それからスキンケア、生活指導などをした場合の管理指導料Ⅱ(月に1回のみ。患者3割負担で300円)のみである。
そして、正しい治療でアトピーは必ずよくなる。
僕の場合、時として一人のアトピー患者さんの診察に30分以上時間をかけることがあるが、この時も患者負担金額は変わらないし、また勤務医である僕の収入が増えるなんてことはない。
つまり、アトピーできちんとした治療をした場合、医療従事者に高額な金銭的利益が生まれることはなく、また患者さん側の負担も法外な値段となる事はないのである。
しかし、残念なことにアトピーは一つのビジネスの対象として確立してしまっており、金銭的利益を享受してしまっている人たちはやすやすこの利権を手放したくないのは容易に想像つくところである。
いまや「アトピービジネス」などというニュートラルな言葉の響きでは不十分であり、「アトピー利権」といったほうが良いのではないだろうか。
これからもきっと、アトピー利権に群がる医療従事者、業者は後を絶たないだろう。
では、どういった対策をたてればいいのだろう?
強力な対抗手段の一つは、やはり患者本人が賢くなること。
すくなくともアトピーに関しては、金銭的利益のためにだまそうとする人間がいることを忘れてはいけない。
次にネットでもアトピーに関する正しい知識が入るような環境整備。
皮膚科学会には頑張ってもらいたいし、僕もこつこつブログを更新するしかない。
「脱ステロイドしてます」のブログ以上の数の「標準的な治療してます」のブログがネットにあるともっと多くの方が安心するのではないだろうか。
ただ一つ、混同してはいけないこととして、アトピー利権に関わらない脱ステロイド患者さんの存在である。
間違った情報に惑わされて脱ステロイドをしている患者さんと、アトピー利権にぶら下がる人々とは同じ立場ではない事をはっきりさせておくべきである。
この部分が抜け落ちてしまうと、アトピーの患者さんのためにと思ってしたことが、結果としてアトピーの患者さんを遠ざけてしまう事になりかねない。
脱ステロイドを選んでしまったことは悲しい事ではあるが、アトピー利権に絡む人たちのような悪い事をしているわけではない。
正しい知識が入るように、そして専門家の意見に耳を傾けられるように、周囲がサポートしてあげることが重要ではないだろうか。
一部のアトピー利権に群がる人たちのせいで、一番苦しい思いをされているのは脱ステロイドをして戦っておられる方たちだろうから。
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