若い男性から問い合わせの電話が入った。
消毒消臭作業の依頼だった。話を聞いてみると、お気に入りの自家用車のエンジンルームにネコが入り込み、そのまま死んで腐っていたらしい。それが臭くて臭くて仕方がないとのこと。特に、エアコンを動かしたら、通風口から悪臭がモロにでてきて、それが原因で彼女とも険悪な状態になっているから何とかしてほしいとのこと。
「ちょっと、やっかいな仕事になりそうだな」
と思いながら、とにかく現場へ行ってみた。
男性は車好きらしく、車は格好よくドレスアップされたスポーツカーだった。ボンネットを開けてみると、確かに骨と毛皮だけになったネコの死骸があった。屋外だったこともあり、私にとって本件の異臭は人間の腐乱臭に比べたら全く平気なレベル。
仕事の難易度を考えると、引き受けるかどうか迷った。
男性も、インターネットを使って色々な業者に当たったらしかったが、実際に相談に乗って現場に参上したのは私だけだったらしく、懇願モードだった。
事情を察して、
「完全にきれいにできる保証はできないが、できるかぎりやる」
という条件で引き受けた。通常は前受けする料金も、私の提案で出来高の後払いで合意。
エンジンルームは色々な機械が入り組んでいて、死骸も部分的に少しづつ取っていくしかなかった。脚だけ、尻尾だけ、胴体一部だけ・・・と少しづつ。人間の腐乱遺体とは別の感覚で気持ち悪かった。手袋を通して伝わる死骸の感触は、何とも言えないものがあった。特に、ネコって怪談話にもよく登場するし、その気持ち悪さがお分かりいただけるだろうか。眼球がない頭部を首からちぎって取るときは、さすがに鳥肌が立った。それでも、手が届く所はまだマシで、手が届かないところは色々な道具を駆使してなんとか全身を除去。
次は、腐敗液の除去である。動物も人間と同じように腐敗液がでるもので、エンジンルームの各所に垂れていた。これが、更にやっかいだった。手が届かないどころか、直視できないところにも付着している可能性があったからだ。
車のエンジンルームは水気を嫌う部品もあるので、慎重に洗浄剤・消臭剤を使用。あとは、もう車の下に潜って作業するしかなかった。これが最悪！洗浄剤も腐敗液も引力に従って下に垂れてくる。下に垂れるということは、私に向かって垂れ落ちてくるということである。それでも、きれいにするにはそうするしかなかった。
「顔にかかんなきゃいいや」
と、私は、開き直りながらやったが､結局、顔にもかかってしまった。辛かった！
作業を見ていた男性は
「スイマセン、スイマセン」
と何度も言っていた。
どうにかこうにか、作業は完了。見た目にはきれいになった。
あとはエンジンをかけて不具合がないか、エアコンを動かして悪臭が出ないかをチェック。
エンジンルームに不具合はなかったものの、悪臭はまだわずかに残っていた。車を動かす時は、常に通風スイッチをＯＮにしてしばらく様子をみてもらうことにした。それでも男性はかなり喜んでくれて、満額の料金を領収。
一ヶ月くらいして、臭いがどうなったか気になったので男性に電話してみた。やはり、時間経過とともに臭いが薄くなり、今は全く臭わなくなったとにこと。あらためて礼を言われた。私にも職人魂があるのか、嬉しかった。
険悪になっていた彼女とは別れたらしく、今は新しい彼女がいるとのこと。
車は乗り換えずに、女を乗り換えたということか。
めでたし、めでたし。
特殊清掃プロセンター
http://www.omoidekuyo.com/
消毒消臭作業の依頼だった。話を聞いてみると、お気に入りの自家用車のエンジンルームにネコが入り込み、そのまま死んで腐っていたらしい。それが臭くて臭くて仕方がないとのこと。特に、エアコンを動かしたら、通風口から悪臭がモロにでてきて、それが原因で彼女とも険悪な状態になっているから何とかしてほしいとのこと。
「ちょっと、やっかいな仕事になりそうだな」
と思いながら、とにかく現場へ行ってみた。
男性は車好きらしく、車は格好よくドレスアップされたスポーツカーだった。ボンネットを開けてみると、確かに骨と毛皮だけになったネコの死骸があった。屋外だったこともあり、私にとって本件の異臭は人間の腐乱臭に比べたら全く平気なレベル。
仕事の難易度を考えると、引き受けるかどうか迷った。
男性も、インターネットを使って色々な業者に当たったらしかったが、実際に相談に乗って現場に参上したのは私だけだったらしく、懇願モードだった。
事情を察して、
「完全にきれいにできる保証はできないが、できるかぎりやる」
という条件で引き受けた。通常は前受けする料金も、私の提案で出来高の後払いで合意。
エンジンルームは色々な機械が入り組んでいて、死骸も部分的に少しづつ取っていくしかなかった。脚だけ、尻尾だけ、胴体一部だけ・・・と少しづつ。人間の腐乱遺体とは別の感覚で気持ち悪かった。手袋を通して伝わる死骸の感触は、何とも言えないものがあった。特に、ネコって怪談話にもよく登場するし、その気持ち悪さがお分かりいただけるだろうか。眼球がない頭部を首からちぎって取るときは、さすがに鳥肌が立った。それでも、手が届く所はまだマシで、手が届かないところは色々な道具を駆使してなんとか全身を除去。
次は、腐敗液の除去である。動物も人間と同じように腐敗液がでるもので、エンジンルームの各所に垂れていた。これが、更にやっかいだった。手が届かないどころか、直視できないところにも付着している可能性があったからだ。
車のエンジンルームは水気を嫌う部品もあるので、慎重に洗浄剤・消臭剤を使用。あとは、もう車の下に潜って作業するしかなかった。これが最悪！洗浄剤も腐敗液も引力に従って下に垂れてくる。下に垂れるということは、私に向かって垂れ落ちてくるということである。それでも、きれいにするにはそうするしかなかった。
「顔にかかんなきゃいいや」
と、私は、開き直りながらやったが､結局、顔にもかかってしまった。辛かった！
作業を見ていた男性は
「スイマセン、スイマセン」
と何度も言っていた。
どうにかこうにか、作業は完了。見た目にはきれいになった。
あとはエンジンをかけて不具合がないか、エアコンを動かして悪臭が出ないかをチェック。
エンジンルームに不具合はなかったものの、悪臭はまだわずかに残っていた。車を動かす時は、常に通風スイッチをＯＮにしてしばらく様子をみてもらうことにした。それでも男性はかなり喜んでくれて、満額の料金を領収。
一ヶ月くらいして、臭いがどうなったか気になったので男性に電話してみた。やはり、時間経過とともに臭いが薄くなり、今は全く臭わなくなったとにこと。あらためて礼を言われた。私にも職人魂があるのか、嬉しかった。
険悪になっていた彼女とは別れたらしく、今は新しい彼女がいるとのこと。
車は乗り換えずに、女を乗り換えたということか。
めでたし、めでたし。
特殊清掃プロセンター
http://www.omoidekuyo.com/
言うのでしょうね。省みてこちらが恥ずかしい思いです。
今日も気持悪さが伝わる内容でした…
お疲れさまです！今日も一日がんばって下さい☆
最近このページを見つけて、全部の日記を見させてもらいました。
自分のようにパソコンでシコシコデザインをしているっていうのもある意味職人って感じもしますが、管理人さんこそ職人ですよね。
自分の作った中吊り広告を見つけては「あそこはもっとああした方がよかったのかも・・・」なんて思ってるわけですが、管理人さんの場合は「あの依頼者はどうしてるだろう・・・」って考えるって事ですよね。
納得のいく仕事をしたときは、仕事はちがくても得る満足感は同じですね。
毎日日記を見ては応援しています。
今後も頑張ってください！
誰が片付けるのでもなく、ほったらかしのまま２日が経過。
見た目にもグロテスクだが、臭いも発生しているような…
役所に問合せをすると、清掃局か保健所に電話をしてくれと冷たい対応。
清掃局に電話をすると、ゴミ置場のゴミは回収するけど、道路上のゴミの回収はしていないとの、これまた冷たい反応。
仕方がないので、
『では、指定のゴミ袋（半透明）に入れて、ゴミ置場に置いておきますから！』
と伝えると、清掃局も渋々ではあるが、それなら回収しますとの回答。
但し、半透明のゴミ袋だと、中身が見えるので見えないようにしておいて欲しいと逆にお願いされる。（って、見えるように半透明じゃないの？）
意を決し、ゴム手袋を二重にはめ、タオル・新聞紙・紙袋・ビニール袋・ゴミ袋を用意し現場へ…
なるべく見ないようにするつもりではあったが、哀しいかな、つい見てしまう人間の性。
車に轢かれたということは、当然潰れているわけで…これ以上の描写は素人の俺には出来ないのでご了承を…
まずは、死骸に手を合わせる。『成仏して下さい』
そしてタオルを掛け、更に新聞紙、その上にビニール袋を被せ、死骸を掴む…
見た目は小さいが、意外に重い。それに感触が伝わってくる。おまけに道路に貼り付いている様で、なかなか上手くいかない。力を入れ持ち上げゴミ袋へ、更にそのゴミ袋をゴミ袋へ…表に『猫の死骸』と書いた貼紙しゴミ置場へ…
清掃局が回収するところまで見届けなかったが、どう処理されたのだろう？
clean110さんからすれば、それくらいのことと思われることでしょう。
全く以って、clean110さんには頭が下がります…
でもうれしいでしょうね。
清掃してくれた人が以後のこと気になって連絡してくれるのは。
しかしエンジンルームに入り込んだぬこは可哀想だがなんでそんなとこに・・・
どうやって入るんだ？？
＞あらしさん
下から見るとちょっと隙間ありますよ。
エンジンルームは暖かいので入り込んで中で死ぬ、というのは
時々あるみたいです。
しかし顔は防ぎ様が無いですね。。シャワーくらい貸してあげれば良いのにな☆なんてね☆
あなたの行動力・勇気には頭が下がります。みんな分かってても放ったからしですもんね。しかし役所に電話すれば手配してくれると思ってたのでｼｮｯｸです
管理人さん、お疲れさまです。私は他人の嘔吐を見ただけで貰いゲ〇してしまうﾔﾂなので(苦笑)この仕事はとても勤まりません；気持ち悪さをこらえて頑張る管理人さんを尊敬します。
ぬこさんは可哀相な運命でしたが・・
knock down! です。（笑）
楽しく、読ませてもらっています。
>シロさん
俺の取った行動は評価されませんよ。
だって、猫をゴミ扱いしてしまったんですから…
もっと他の方法があったはずだと後悔しています。
なーんて言ってましたよね。
とかく私は人の嫌がること（例：スカートめくり等）をする派でしたが。（笑）
特殊清掃員の方々は社会において、普通なら皆が嫌がる仕事をする、素晴らしい方々なのです。
本当に尊敬しています。
これからも頑張ってください。
応援してますm(__)m
今私が住んでる国の道端ではもっと目を逸らしたいことに毎日出くわします。足や手、目がない人、全身やけどを負った人。生きているのかわからない子どもを抱えたおばあちゃん。彼らはみな道端に座る物乞いです。僕は彼らの目を見ると人生の絶望に触れる気がしていつも目をそらしてしまいます。でも彼らからしてみるとそれが仕事なんだと。死んだら終わりだけど生きながら死の境界線を垣間見ている人もいるんだ。人の嫌がる仕事をしている人、せざる負えない人、目を逸らす人、笑いコケにする人、それぞれ違いますが心から管理人さんを尊敬し応援しとるけんね〜＾＾
お仕事大変ですよね･･･
自分は今就職活動をしているのですが、
このブログを読んで、プロの仕事とは･･･
と考えさせられます。
暑さに負けず頑張ってください!!
どうにもならない臭いだったのでたどっていったら、ネコの腐乱死体でした。
一目で悲鳴を上げて家の中で夕飯の支度をしている母に報告しました。
母はゴム手袋と松葉バサミでネコの腐乱死体を片付けてしったのです。
その母の姿と隊長さんの姿がダブりました。
お体に気をつけてお仕事をがんばってくださいね。
せめて死者が安らかに眠れますように。
管理人様にも安らかな夜の安眠がありますように。
その後母親に話したら「二度と近寄るな！）
ってどなられたし、ネコ関係は家はトラウマ
ですなぁ。
轢かれてて
しかも、その猫 知ってる野良猫だったんですよ。
で、可哀相だな と思い
親に何とかならないか頼んだら
すっごいめんどくさそうな顔されたんですが
それでも頼んでみたら
「（市役所とか業者さんとかに）自分で
電話したら」
親も知ってる猫なのに
「大人って薄情だ」と、子供心に思いました（苦笑
まぁ、結局私も電話できなくて
数日間 徐々に無くなっていく死体を
ぼんやりと見てましたね。
馬鹿だなー自分
電話すれば良かったのに
今でも 動物の轢死体を見ると思い出します。
何の仕事頼むにしてもこういうプロ根性をしっかり持った人にお願いしたいもんだね。
このブログ、やめてもらえませんか？
こいつは只の荒し。
遺体屋〜の方にも嫌がらせしてる最低な奴。
みんながみんな、どこかを支えてるんよね。
管理人様、応援しています
今まで、このような仕事があることすら知らなかった自分が恥ずかしいです。すごく勉強になります。
ストレスも多い職種だとは思いますが頑張って下さい！！応援しています。
中には酷い状態のもあったけど気にしなかった。
でも悲しかったのはたまたま歩いていて見付けた仔猫。ひかれたばかりみたいで息があるようだったけど国道の真ん中だったため助けられなかった。
やっと仔猫のそばに行ったけど死んでいた。
両手の掌に乗るくらい小さな仔猫を川の側に埋めてあげて『早＜生まれ変わるんだよ』と言った。
管理人さん仕事頑張ってください。
この手の話にオチはつけて欲しくなかったデス。
内容が内容ですが、ユーモアを持って客観的に書かれている文章に好感を持って、初めから一気に読ませて頂きました。
この内容で毎日更新されているなんて、凄いの一言です！！！
これからも読み続けさせて頂きます。
ホント、お体には気をつけてくださいね。
先週はつがいのネコ、その２日後は親子連れが同じ場所で横たわってたのを横目で見て、
がくーんとうなだれていました。
でも、こちらの自治体はネコの遺体を見つけたと保健所に通報すると、きちんと処理してくれます。自治体によって対処が違うんですね…。
車の中にネコ、私の近所でも起きました。
春先、母ネコが仔猫三匹くらいとエンジン室に潜り込んで、寝泊りしてたらしいのです。そんな事情を知らない車の持ち主が出勤しようとエンジンをかけた途端、ボンネットから断末魔の叫びと、寸でで逃げ出した母ネコの姿があったんだそうです。
ＪＡＦさんに出動依頼して、仔猫ちゃん三匹の亡骸を取り除いたとの話でしたが、ＪＡＦさんも車の持ち主もかなり凹んだでしょうね…
あと、まだ生後二ヶ月くらいの仔猫が道の真ん中でうずくまっているのを見かけたときもありました。前足一本が潰された状態で、懸命に助けを呼ぶ姿に、乗ってた原付を乗り捨ててまでその子を助けようとしたのですが、自動車が無情にもその上を押しつぶしてしまいました…。私は正視できず、目を逸らしてしまいました…(涙)。今でも助ける可能性があったかもしれないのに…と、後悔の念で一杯です。
特に冬場は寒いので野良が温まりに入ってきてしまうとか。
梅雨なんかは雨宿りにきていたのかもしれません。
非常に可哀相な話ですが人間も猫も悪気があっての事ではないので仕方ないですよね。
ディーラーなんかもこういう件に関しては「ムリ」と断るそうですし、どうしようもなくて泣く泣く愛車を手放す方も居るとか。
猫もきっと狭い・怖い・熱いエンジンルームに閉じ込められたまま死んでも辛い思いをしていたでしょうから車のオーナーさん同様感謝していると思います。
お疲れ様でした。
オチも申し分なし
数件やりました。
やはり、くさいのは我慢できますが、ブツはなんとも嫌な感じですね。
夏場はあまりエンジンルームに猫は入ってこないみたいですが、冬場は暖かいらしく猫が入りやすいみたいなので、皆さん注意してください。
海外の猫が全く同じような状態で発見された動画を見ましたが
オエッとやっているのは万国共通のようでした。