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2007/09/09

弥生文化と縄文文化

日本の深層―縄文・蝦夷文化を探る (集英社文庫) 日本の深層―縄文・蝦夷文化を探る (集英社文庫)
価格:¥ 590(税込)
発売日:1994-06

フリーの鉄砲玉こと、おはら汁サイトさんで「日本語は極東アジアの共通語」についてのエントリ書いてらっさるんだが、ちょっと追加を。コメント欄とかでどうも勘違いしている人がいるようなんだが、平仮名が漢字から生まれたという事くらい、おいら知ってます。おいらが言いたいのは、「平仮名は大和言葉を書き記すために作られた言葉である」という事だ。もともと日本語は文字を持たなかったので、漢字が伝わると表意文字である漢字を表音文字として使って大和言葉を記録する方法を発明した。それが万葉仮名なんだが、万葉仮名はやがて簡略化されてカタカナと平仮名が生まれる。そもそも、同じ文字を表意文字と表音文字と、両方に使うというのはややこしいわけでね。で、明治になって欧米の単語が輸入されるまではカタカナが外来語という風習はなかったんだけどね。むしろ平仮名は女文字だと思われていたし、カタカナは漢文の読み下しに使われていた。漢文はそのままではチンプンカンプンなんだが、レ点を振ったり送り仮名振ってやると、とたんに読みやすくなる。だから、昔の文書はカタカナで書かれた物が多くて読むのがしんどい。で、中国文明のかわりに欧米の文明が入ってくるようになり、また言文一致とか言われるようになると、女文字だった平仮名がむしろ主流になり、カタカナは欧米からの輸入語に使われるようになる。言葉は変わるものなので、江戸時代の文字と現代の文字とでは役割がまったく違う、というのは理解する必要がある。

で、弥生文化の流入についておはら汁さんが書いているんだが、

おおむね言ってる事は合っているんだが、ひとつ付け加えるとするならば、採集経済と栽培経済の効率性についての問題点だ。ひとつ、例としてあげると、アメリカにはインディアンという先住民族がいて、彼らは採集経済を生きていた。農耕をしてなかったわけだ。そこへヨーロッパ人が入って来て、農耕を始める。最初は人数も少ないが、農耕というのは効率がよくて、狭い面積で多くの人間を養えるので、すぐに人口が増えてしまうわけだ。たとえば加賀百万石と言うんだが、百万石というのは大雑把に言って百万人を養える収穫量という意味がある。米を作るからそれだけ養えるので、百万人がイノシシ追いかけたりドングリ拾っていたんじゃ、みんな死んでしまう。で、アメリカではインディアンが採集に使っていた広大な土地を、農民たちが自分たちの土地にしてしまう。インディアンは非常に効率の悪い経済を生きているので、残された土地では人口を維持できない。かくして、絶滅寸前まで追い込まれてしまったんだが、まぁ、日本はちょっと事情が違う。

弥生文化というのは稲作文化なので、アメリカの農民と違って定住できる場所が限られる。湿地帯でないと稲は栽培できない。伊豆で言えば、田方平野というのがその条件に当てはまるんだが、狩野川の氾濫原がちょうど稲作に都合のいい環境を作り出していた。だが、それ以外の山や海岸沿いは稲作に適さないので、ずいぶん後世に至るまで、縄文系の採集民族の土地として残されていた。カツオを追って手漕ぎのカヌーで南洋から渡ってきた漁民がせっせと干しガツオを作って弥生人の作る米と交換したり、山で獲れたイノシシの肉と交換したり、縄文以来の生活を送る連中と、稲作を主にやっている弥生人の棲み分けというのは、延々と続いてきたわけだ。ただ、圧倒的に農耕民族の方が増える率が高い。日本では山が多くて海岸線が長いという制約があったために、農耕民族が縄文人を圧倒するところまでは至らなかったんだけどね。それでもせっせと開墾し、灌漑設備を作って耕作面積を広げて行く。また、おはら汁さんが言ってるように、縄文系住民も農耕を覚えて農民になったりするんだが、それでもずいぶん後世までその痕跡は残るわけだ。

というのも、江戸時代までの日本の税制というのは土地か米の収穫に課税するものなので、漁民や猟師や職人には税金はかからなかった。もちろん芸人なんてのもそうだ。近世になると商人も店の間口によって税金を納めるようになるんだが、まぁ、国家財政のほとんどが農民の納めるカネだ。という事は、江戸時代までの日本には「税金を払う人たち」と「税金を払わない人たち」の二種類がいた、という事になる。今みたいに国家というのが明確な存在ではなかったので、戸籍も持たないヤツがたくさんいたわけだ。そういう意味では、彼らは日本に住んでいても日本国民ではないし、国家という枠組みとは無縁に生きていた。それらがちゃんと「国民」になるのは、明治になって徴兵制が施行されたからだ。今でも、ちょっと昔の先祖を辿るとなると、戸籍ではなくお寺の過去帳に頼ることになるんだが、まぁ、お寺というのは一種の役所の出先機関みたいなものなんだよね。徳川幕府が戸籍を作るかわりに、すべての住民にどこかの寺の檀家になるように義務付けたという経緯がある。で、そうした管理が進んだ江戸末期になると、お寺に「住民登録」してないヤツはエタヒニンと呼ばれるようになるわけだな。

と、そんなわけで、ずいぶん長い時間をかけて渡来人と土着民の融合というのは行われて来たんだが、これがまた日韓併合で新しい住民が入り込んで来るわけだ。その新住民の同化は、まだ現在進行形なんだが、最近では中国人なんていうのも入り込んで、日本がアジアの吹き溜まりだという構造は今でも変わらないわけだな。むかしと違って国家組織という枠組みこそあれ、飛行機での交流はむかしとは比べようもない。まだまだ、日本史は継続中なのだ。

コメント

ひらがなとカタカナの起源はヘブライ文字。 日本語とヘブル語の類似500語。 やまとは神の民の意味。ひい、ふう、みい、よお、いつ、むう、なな、やあ、ここの、とう の意味は誰がその美しい方(女神)を出すのでしょう、彼女に出ていただくために、いかなる言葉をかけたらいいのでしょう、というアマテラスを洞窟から誘い出す祝詞。大化の改新はイスラエル神道を復活させる試み。 日本書紀と日本語のユダヤ起源 より

千石船での商いの儲けを武士は取り上げることができなかった当時の税制

>土地か米の収穫に課税するものなので・・・

やはり指をくわえていただけだったのかな?

出たよ日ユ同祖論の電波が

電波は勘弁
なにがUltra Rightだボケが

>彼らは日本に住んでいても日本国民ではないし、国家という枠組みとは無縁に生きていた。
善悪ではない「アウトロー」の概念だね
「海と陸の違い」は漁業関連の事柄にも名残が残ってる
隔絶と呼べるほど深刻じゃないが

世代を超えて使用される言葉でない限り(30年間以上でしょうか)、辞書には載せるべきではないのですが、出版社も商売なので新しいニホンゴを掲載して売らんとするとか。言葉の変化を拒絶する気はないのですが、政治改革同様、変化は漸次的であるべきとも思います。戦後の断絶に対する揺り戻しが脳内で進行中。祖国とは国語である(by Cioran via 山本翁)と考える故でもありますが。

仏教の堕落は、市役所化したところで極まったとか、ブラジルからも流れてくるんですがとか思ったのですが、風呂に入るのでここまで。

確かに、「日本がアジアの吹き溜まりだという構造」は、野次馬さんに同意します。

となると、「日本人」とは、「自分が日本人だと目覚めたヤツ」ということだったりして。

弥生時代、縄文時代という考古学区分自体、どうかね?と思う。

弥生文化が稲作文化という考古学の定説は完全に間違い。

最近の研究では、あの日本中に広がる水田のイメージが当たり前になったのは、江戸時代からであって、日本では陸稲が中心だったことが、農学などの理系分野から提起されている。(ちなみに、日本に陸稲が広がったのは6000年くらい前で、日本に水稲が伝わったのは3000年くらい前だ。いずれも中国南部から伝播している。)

よって、縄文式土器、弥生式土器の使用をもって、稲作の伝播を語ったり、人種の違い(古アジア人種、新アジア人種)を語ることは無理になってきている。

119 :日本@名無史さん:2007/08/25(土) 22:59:26
2001年の佐藤洋一郎先生の講演ですよね。

1.基調講演 イネと稲作の日本史
ttp://inoues.net/study/japonica1.html

それから2005年になって...
yahoo掲示板に下のような書き込みがあった。

42 :本当にあった怖い名無し:2007/08/07(火) 07:36:16 ID:9rlUPCRn0
中国政府の研究機関が、日本の稲作の伝来を科学的に照明した。
諸外国の研究機関も納得している。
韓国だけが感情的に反対しているがw
日本の歴史教科書や世界の教科書も大きく書き換えられるかもな。
遺伝学的、農学、植物学、生態学でみて、
稲の伝来は、中国南部→日本列島→朝鮮半島
詳しくはここ。

日本から朝鮮半島への米の伝播
ttp://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/12585608.html
>日本の稲作開始は陸稲栽培で6700年程度前まで、
>水稲栽培で3200年程度前まで遡ることが判明している。

 日本は古来から「豊葦原瑞穂国」と呼ばれてきた。意味するところは、「水生植物である葦が生い茂って、みずみずしい稲の穂がみのっている国」であり、日本国の美称であるとともに、日本列島の状況を示すものと観念されてきた。

与謝野某の「君死に給ふこと勿れ」も、「あんた町人の子なんだから戦争なんかで死ぬもんじゃないよ」の意とか。こんな奴に選挙権は要らん。「軍隊に入れば白米を腹一杯食べられるから」と釣る軍部に、釣られる民衆(敢えて国民とは云わぬ)という時代ではありましたが。さりとて変わったのは時代だけで、精神性というか国民意識というか国防意識というか、「国民」の何たるかを理解しているか中身はどの程度変化しているでしょう。明治維新は「国民」意識の植え付けの歴史でもあると解しております。そのための大元帥陛下であり、皇民化教育であり、薬が効きすぎて敗戦&反動あり。

兵役を免れるために祖国に帰らないような連中、味方にしたら敵よりタチが悪いとも。

「まだまだ、日本史は継続中なのだ。」
最後のココ、ぐっときたw
いろいろ楽しいエントリありがとうございます。
日本のこの辺の話は好きなもんで。

このエントリで「化外の民」とか「山の民」とか「サンカ」とか、あの辺のアレな単語を思い出したのでおべんきょし直しとこ。

そーいえばどっかのだれかさんがタレントを「河原芸人」とかいって問題?になってたらしいですが、だって元から芸人は「河原者」なんだからなにがおかしいのかわかりませんでした。

日ユ同祖=電波とはめでたい脳。言語は千年や二千年ではなりたちまへん。言語と血はイコールではありまへんな。ヘブライの言語、宗教をよく理解する人々が日本の支配層に深く関わった、という証拠は多いように思われますな。

日本語のタミル語起源説は大野晋だったかな。チベット起源説もどこかで読んだ気が。数多くの単語を調べれば、たいていの言語との類似性は表れるとも。

被差別部落の成立やら中世の職能民やらアジールやらで網野善彦を読んでみようと思ったため、かつて著書の買い揃えに走ろうとしますた。所有欲が旺盛な上、子供がたむろする図書館が嫌いである故です。しかし財布が許してくれません。買うだけでツンドクの危険もありますが。

このお手紙はもうあの方へ届いたのかしら…

失望するためには、有望と一旦は思わねばならぬ旨を書き込むにあたり、失望氏と一方的にお呼びしてしまったのは当方ですが・・・

すごいくさいババアの乞食
これはホントに愛情込めて言うけど早めに
詫びいれないと僕は
(以下略。ヒント飛び○り・笑)

ネットでディスられてるらしい
んですね(笑)
全てエネルゲンにして


ユダヤとニダヤの日本分割統治計画
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/mineyama/seapower.html
http://www.araiart.jp/copro302a.html
http://www.araiart.jp/725.html

>平仮名は大和言葉を書き記すために作られた言葉である

そうですよね。
アルファベットも漢字も実は質的な違いはなく、文字はもともと全て表意文字で、それが簡略化されて表音文字になるんですよ。現代中国で漢字の略字体が表音記号として使われるでしょ。ひらがなは実はあれと同じで、漢字の亜種ですね。アルファベットもそう。
定まった目的を持って作られたハングルなどは、少し事情が違いますが。

この手の話を聞くと、どうも里芋が無視されているように思われます。
稲作以前に里芋が主食の文化があったはずです。現在でも、芋煮鍋などに痕跡をとどめています。

>江戸時代までの日本の税制というのは土地か米の収穫に課税するものなので、漁民や猟師や職人には税金はかからなかった。もちろん芸人なんてのもそうだ。
「もののけ姫」に出てくる産鉄民もそうですね。

ご指摘の通り、サトイモ文化は存在しますよね。
ただし、南方系で、縄文、弥生とはDNAを異にしますが。
タロイモ、キャッサバ系ですね。
九州の隼人などは南方から渡ってきたサトイモ文化圏の人々ですね。

足利室町の時代まで、日本列島のGNP(GDP)の大半は陸稲、畑作、焼畑によって構成されていたとかいう講義受けたことあるな。
正史だけじゃ、本当の日本の姿は見えてこないのかもね。

>お寺に「住民登録」してないヤツは
無宿人とか、浪人、流れ者でもありますよね。
あーあー東京流れ者ー。

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