神社を参拝したときに、初穂料(はつほりょう)を納めると、お札を頂くことができます。もしくは、昇殿して正式な参拝をすると、通常お札を頂きます。
お札は神様そのものだと考えられています。たいまつを火に近づけると、たいまつに火が移りますが、お札を頂くということは、それと同じように、神社の御祭神(ごさいしん)(神社がお祀りする神様のこと)の御霊(みたま)を分け、お札として家に持ち帰ることを意味するのです。
お札を頂いたら、自宅に神棚を設置し、そのお札を丁寧にお祀りするとよいでしょう。
お札を神棚にお祀りすると、神棚にその神社の神様がお入りになり、近い所から毎日見守ってくださると考えてください。
神棚をお祀りするということは、イメージとしては、自分専用の神社を、家の中に建てるのと同じことなのです。
「神棚を祀る」というと、何か特別なことのように思う人もいるでしょう。しかし、必ずしも大掛かりな神棚を設置する必要はないのです。
昔と違って、都市部の住宅は、神棚をお祀りするのに適した造りになっていない場合が多くあります。
もちろん形式も重要なのですが、それよりも重要なのは、神様を大切にする気持ちです。
ですから、家族全員が集まるリビングなどの、清潔で高い場所にお札を置き、朝夕に手を合わせるだけでもいいのです。
でも、せっかくならば、気持ちを込めて、少しでも丁寧な作法にのっとってお祀りするとよいでしょう。
お札は神様そのものですから、むき出しで置くよりも、神様のお住まいである「お社(やしろ)」の中に奉安するのがより丁寧な方法です。
一口にお社といっても様々です。やっとお札一体(お札は神様なので、「一体」「二体」と数える)が入るだけの小さなお社もあれば、何体ものお札を納められるお社や、神殿が三つ連なった大きなお社もあります。
住宅の事情に応じて、神棚のために取ることのできる広さを確保すれば十分で、それが狭くても構いません。
神棚を設置するのに適した部屋は、家族全員が集まる部屋です。家族で神棚を大切にし、そして神の息吹を皆が受け取ることができるからです。
神棚には理想的な向きがあります。通常、神棚の正面が南、もしくは東を向くように設置します。つまり、部屋の北側、もしくは西側の壁が適した壁になります。
神様のお住まいになるお家も人間と同じで、南向きと東向きはよいお家なのです。
そして、神棚は敬意を表して高い場所にお祀りするべきです。見下ろしながら拝むのもおかしな感じがします。やはり尊いものは高い所が似合います。
また、清潔な場所であることも大切な条件になります。清浄であることはお祀りが成立するための最低条件です。不浄なものを遠ざけ、日々のお掃除を欠かさないようにしましょう。
さて、設置場所が決まったら、お社を入手します。(神棚とは、お社を含む祭壇全体を指す場合もありますが、特にお社のことを指すこともあります。お社のことを、別に「お宮」「宮形(みやがた)」ともいいます。)
お社は、神社や神器店、その他神道に関連する団体などが取り扱っています。
色々な形のお社がありますが、伊勢の神宮を起源とする神明造(しんめいづくり)や、出雲大社の建築様式を模した大社造(たいしゃづくり)などが主な形です。
その他にも、稲荷造(いなりづくり)や、神明造を簡略化させた片屋根(かたやね)、長方形の箱の前面に扉などを取り付けた箱宮(はこみや)などがあります。
大きさや形式によって金額は様々です。安いものでしたら千円程度で入手可能ですし、立派なものですと何万円もします。
もしお社にこだわるならば、伊勢の神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)のときの御用材御残材(ごようざい・ござんざい)で作った、お社をお奨めします。
伊勢の神宮で申し込むことができますし、地元の神社を通じて申し込むこともできます。
また、すでに棚がある場合はよいのですが、それが無い場合は、壁に取り付ける神棚用の棚板もありますので、それを利用すると便利です。主に神器店で扱っています。
せっかく神棚を設置するなら、お社だけでなく、関連する道具も一緒に揃えるとよいでしょう。
そのような道具を分けている神社もありますし、神器店で実際に手にとって選ぶこともできます。インターネットを通じて購入する方法もあります。
持っておくべき道具は次のようなものです。まず、神様にお米・お塩・お酒・お水などを献上するための器と、それらの器を載せる折敷(おしき)やお三方(さんぼう)。そしてお榊を立てるための花器、蝋燭立て、しめ縄などがあります。