神社を参拝したら、せっかくですからお札やお守りを持ち帰るとよいでしょう。お札やお守りは神様ですから、一体(いったい)、二体(にたい)と数えます。ですから、お札やお守りは、「買う」のではなく、「分けて頂く」のです。
ですから、それに対して支払うお金は、神社に納める初穂料(はつほりょう)であって、代金ではないのです。通常お店では「お会計は○○円です」といいますが、神社では「○○円をお納めください」というのはそのためです。
お札は家にお祭りするもので、お守りは持ち歩くものです。もちろん両方頂いても構いません。お札は神様ごとにあります。そしてお守りは用途ごとに種類があります。たとえば、交通安全、厄除け、安産、学業成就などなど。また、特に用途の決まっていない普通のお守りもあります。
お札とお守りは、今日お参りした神様を移したものです。家でお札を祭るということは、家に神社を持ってきたようなものですし、お守りを持ち歩くということは、神様を持ち歩いていることになるわけです。
そして、お札とお守りの有効期限は一年と考えてください。一年以内にその神社を訪れるとき、もしくは来年の初詣のときに、お札とお守りを神社に持っていき、お炊き上げをしてもらいます。
また、古いお札やお守りをいつまでも持ち続けるのはあまり良いことではありません。いつも新しいお札を家に祭り、いつも新しいお守りを身につけるようにしましょう。
何度も言うようですが、お札とお守りは神様ですから、神社から帰るとき、電車の床に置いたりしてはいけません。神様だと思って大切に扱ってください。
さて、神前での参拝が終わり、お札を頂いても、まだ終わったわけではありません。まだ直会(なおらい)が残っています。
神様に捧げる食べ物やお酒を「神饌」(しんせん)といい、また一旦神前に捧げた神饌(しんせん)を下げたものを「おさがり」といいますが、直会とは「おさがり」を頂くことです。
参拝者一同が「おさがりを」食べたり、飲んだりすることで、神の息吹を身体に取り込み、神事が終了するのです。
昇殿参拝をした場合は、神事の最後に、参拝者に「おさがり」としてお酒が出されますが、それが将に直会です。(これは宗教儀式ですから、一口のお酒を頂くことは、未成年者でも許されます。)
そして、羊羹(ようかん)、鰹節(かつおぶし)、昆布、お塩などの「おさがり」がお札と一緒に包んで渡されます。それは持ち帰って、一度神棚にお供えし、それを家族で頂くとよいでしょう。
本来は、神前にお供えした神饌をいただくのが直会ですが、神社参拝の直後に近くのレストランや食堂で、皆でお酒を飲みながら食事をすることをもって直会とすることもできます。もちろん、昇殿参拝でお酒を頂いたあと、続けて食事会の直会をしても結構です。
レストランで出されるお酒や食事は、正確には神饌の「おさがり」ではありませんが、これを「おさがり」に見立てるわけです。(この場合は、直会とはいえ、未成年者の飲酒は許されません。)ただし、いずれにしても食べ物と飲み物は、神の恵みであることには変わりがありません。
また、直会は必ずしも和食である必要はなく、中華料理やイタリア料理でも構いません。
ですから、神社参拝の前に食事を済ませるのは正しい順序ではありません。空腹の状態で参拝を済ませ、その後で直会としての食事をするのが正しい順序ということになります。
神社参拝の後、神に感謝しながら、皆でわいわいと、お酒を飲みながら食事をする。そこまでを含めて神事だと思えば、神社参拝もさらに楽しいものになるのではないでしょうか。ですから、たくさんの人が訪れる神社の周辺には、多くの飲食店が軒を連ねています。
直会の話題が出たついでにいうと、本来私たちは、全ての食事を直会だと思って、感謝の意を込めて頂くべきなのです。
大自然の恵みのおかげで、毎日の食事を頂くことができのですから、我々は大自然からエネルギーを頂きながら、今日も生きているのです。そして大自然とは、神のことです。
毎日の食事を、神から頂いた恵みだと思い、感謝しながら頂く。そして、頂いた食事によって神の息吹を全身に取り込む。それが直会なのです。
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