世界シェア98%、サムスンが誇る「夢の工場」(上)
サムスン・モバイル・ディスプレー、次世代の有機ELディスプレー生産ラインを公開
液晶よりも電力消費が少なく鮮明、厚さもより薄く
果敢な先行投資により市場を掌握、価格問題が普及のカギ
8月24日、忠清南道天安市西北区聖城洞にあるサムスン・モバイル・ディスプレー(SMD)本社を訪問した。「夢のディスプレー」と呼ばれるアクティブマトリックス式有機発光ダイオード(AM-OLED)を生産するA1ラインでは、わずかのほこりの侵入も許さないために防じん服や防じん手袋、マスクまで身に着けた社員が慌ただしく動き回っている。工場内の環境は快適で、温度は1年を通じて22度に維持されている。文字通りほこり一つ見当たらない。たばこを吸ったら、最低でも30分は工場のラインに入ることはできない。肺に残ったたばこの煙が工場内で商品に致命的な影響を及ぼすためだ。
このA1ラインには「在庫」という概念がない。1日に2回、午前と午後にトラックがやって来て製品を運び出す。そのため在庫がたまる暇はない。常務のイ・ウジョン氏は「ラインをフル稼働させているが、注文が殺到しているため対応するのが難しいほど」と述べた。
■市場が急成長、生産は1年前に比べて3倍増
現在、主に高級携帯電話の液晶画面などに使用されているAM-OLEDは、電力消費に関してはこれまでの液晶画面に比べ半分以下で、厚さや重さはわずか3分の1だ。従来の液晶とは異なり、日中の屋外でも鮮明な画面を映し出し、反応速度も1000倍速い。
AM-OLED市場の成長はまさに驚異的だ。昨年4-6月期の世界のAM-OLED生産量は152万5000枚だったが、今年4-6月期には496万1000枚へと3倍以上も増えた。同じ期間に販売額は、4700万ドル(約44億円)から1億2000万ドル(約112億円)へと大幅に増加した。市場調査会社のディスプレーリサーチによると、今年7-9月期の生産量は前期比で2倍に増えるものと予想されている。市場はまさに爆発的な成長を続けている。
サムスン・モバイル・ディスプレーが世界市場で占めるシェアは98.3%。早期の市場掌握と、MP3プレーヤーや携帯電話、デジタルカメラなど供給先の多様化により、市場は拡大している。
サムスンが次世代の成長動力としてAM-OLEDに力を入れている理由は、素材そのものの特性が非常に優れているからだ。
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