立命館大学との共同企画講座 ♯06 最終回
〜関西芸人、関西弁なしの関西ローカルバラエティは成立するのか?〜
立命館大学との共同研究・最終企画発表会 2008年度
2008年4月から立命館大学・産業社会学部と関西テレビとの間で覚書を交わして1年間の日程で進められてきた共同企画研究が、このほど最終回を迎え、2月13日に企画発表が行われました。
この共同企画研究は「テーマや課題を大学の研修生に課すことによって、総合的・専門的・実践的に学習し、成果を創出すること」を目的としています。今年度のテーマは「関西らしさって、何だろう?」 「関西芸人を使わない、関西弁を使わない関西ローカルバラエティは成立するだろうか?」というものでした。
これまで関西テレビからは既報の通り、前期、後期合わせて7回にわたり、学生側の要請に応えてアナウンサー、記者、ディレクターなどそれぞれの分野のスペシャリストを講師として派遣してきました。また7月には前期の研修結果を踏まえ、報道番組「スーパーニュースアンカー」とバラエティ「ナンボDEなんぼ」を俎上に「番組制作における関西らしさ」というものを研究分析してもらい、プレゼンテーションが行われ意見交換をしました。
今回、最終回の企画発表には、研修生14人が、1年間の研究成果をA4用紙一枚の企画書にまとめて発表、関西テレビからは「心でつながるプロジェクト」のメンバーを中心にこれまで活動を支援してくれたKTVスタッフも参加し、企画案の報告をうけて意見を交換しました。
企画書の内容は「制作者の命」ですからみだりに公表できませんが、作品の傾向を簡単に紹介します。プレゼンテーションでは、企画書の文言以上に報告される学生の言葉の隅々に、テーマについて一所懸命考えた様子がうかがえました。
企画内容を大雑把に分類すると
・制作系のバラエティが10点、
・制作系ドラマが1点、
・報道系討論が2点、
・スポーツ系企画が1点、 となっています。
・制作系のバラエティでは、関西の各地を訪問・探索する旅企画、ローカルの人情や文化,穴場を訪ねるものが4点。直接、関西人にアプローチし、関西の人情や気質、人間関係を
紐解く企画、「おばちゃんパワー」をテーマにしたものが6点です。
・またドラマでは、関西を舞台にしたコテコテの人情ドラマを、あえて関西のタレントで関西弁なしという条件を付けて制作するという逆転的発想の関西企画が1点。
・報道系では、関西を視座に政治・経済を大上段に構えた硬派の討論会や、時事問題・話題をあつかう井戸端会議など2点。
・スポーツ系では、関西圏で活躍する各スポーツクラブを親しみ易い市民の目線で取り上げた番組企画が1点 となっています。
どれも関西という特性をよく研究した結果の企画提案となっています。
評価にあたったKTV社員からは、まだまだ「ヒョウ柄の大阪のおばちゃん的イメージ」に囚われている、学生たちは放送局メディアが作りだしたステレオタイプの大阪のイメージから抜け出せずに苦しんでいるようだ、と自らを戒める感想もありました。しかし、関西のこまやかな人情や、人懐っこい正直で豊かな心をテーマにした繊細な企画もあって、評価の高いものもありました。学生たちは、実際に制作体験がないために、具体化するための方法論や現場で起こる問題点にまで、思考が及ばないのは仕方ありません。放送局にとっては逆に、今の若い世代が求めている大阪発の番組への考え方を知るには大変有効でした。
どれも甲乙つけがたい力作ですが、会場参加者の合議で優秀賞にスポーツ企画の「スタジアムにいこか!」と、制作バラエティ「ボクのプレゼント」の2点を選び記念品を贈りました。また他の学生にも、もれなく努力賞が贈られました。
さて、発表のプレッシャーから解放された学生たちは、この後、お約束のスタジオ見学、やしきたかじんさん司会の「ムハハ no たかじん」の収録スタジオを見学、関西の話術の頂点 たかじんさんの軽妙なトークを目の当たりにして感動しておりました。
みなさん1年間の研究活動、お疲れさまでした。ありがとうございました。