2009年6月5日
お堀に浮いたごみを網ですくう児童ら=5月25日、南区の東寺
地域の顔である東寺(京都市南区)のお堀をきれいにしようと、近くの南大内小学校の児童らが地道な取り組みを続けている。3月にはこれまでの功績を評価され、同様の取り組みを進める他の小学校3校と共同で府の「京都水宣言記念・京都水づくり賞」を受賞した。5月のある日、その活動を追った。
小篠(おざさ)清校長によると、取り組みは南区区制50周年を記念して市役所などの依頼で始めた。05年4月から毎月1回、東寺の南側の堀に、ヘドロなどを分解し水を浄化するEM菌(有用微生物群)の培養液を投入する。児童らは「東寺のお堀をきれいにせんで委員会」と名付け、5年生が作業を担当してきた。
5月25日午後1時。児童20人が曇天の下、作業を始めた。校舎内で児童らがつくったEM菌の培養液を、タンクから10リットル容器約10個に小分けし一輪車に積み込む。お堀まで一輪車を押す役を務めた小中翔太君(10)は「60キロぐらいある。めっちゃ重い」。ふらつく一輪車を周りの児童らが懸命に支えた。
お堀に着くと児童らは8カ所に分かれ、片端に網がついた長さ2メートルほどの水深観測用の棒で水深を測り、底や水の様子を記録用紙に書き込んでいく。「深さは35センチ。下の5センチぐらいは泥がつまってる」「4月よりちょっと汚い」と元気な声が飛び交う。網を使って水面に浮いたごみをすくう児童もいる。
記録の後はEM菌の投入だ。児童らが容器のふたを開けて斜めに傾けると、茶色の培養液が勢いよく飛び出す。近くの住民や観光客が、珍しそうに眺めていた。
中村芙由さん(10)は「お堀に流したときはちょっとくさいけど、作業は楽しい」と笑顔で話した。森岡優希君(10)は「なんでお堀にごみを捨てる人がいるのか分からない」と首をかしげる。
担任の上田雅也教諭は、「汚れたお堀の中の生物の存在に気づいて『この中で生き物が生きていくのはしんどいやろなぁ』と話すなど、子どもたちが色々なことを意識できるようになった」と環境学習の利点を話す。小篠校長によると、夏場のドブのようなにおいは数年前より少なくなったという。「自然相手の取り組みは、すぐに成果が出るものではない。地道に活動しないといけないことを子どもたちも理解している」と話す。(竹山栄太郎)
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