【社会】認可保育園の待機児童3割増 4月前年比、不況影響で2009年9月8日 朝刊 認可保育園への入園を待つ待機児童は今年4月現在、2万5384人で、前年同月と比べ5834人(同29・8%)増えたことが、厚生労働省の調査で分かった。増加数と増加率は、現在の方式で統計を取り始めた2001年以降最大。待機児童数は最も多かった03年4月以来の水準となった。 保育園の定員は約1万1000人増えて約213万2000人と11年連続で増加したが、厚労省は「不況で配偶者が職を失ったり収入が減ったりし、子供を預けて夫婦共働きしようという人が増え、施設整備が追いつかない」と分析している。 待機児童は埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の7都府県と名古屋市など政令指定都市、中核市だけで2万454人と全体の約8割を占める。一方で、全市区町村の約8割に当たる1423市区町村では待機児童がゼロとなるなど、都市部と地方の二極化が進んでいる。 都道府県別では、東京が7939人で最多。前年同期より約2500人増えた。次いで神奈川(3245人)、沖縄(1888人)の順で、長野、福井など9県ではゼロだった。 中部地方ではほかに愛知が778人、滋賀が411人、三重が73人で、いずれも前年より増加。岐阜は前年と同じ3人だった。 【待機児童】親の就労や病気といった認可保育園の入所要件を満たし入園を希望しているが、定員の超過などで入園できない児童。入園が難しい年度途中に増加する傾向があり、近年は10月に4万人前後まで増えている。厚生労働省の調査では、地方自治体が助成する認可外保育園などを利用している場合は、認可園を希望していても数に含まれない。「保育事情が好転すれば働きたい」という潜在的ニーズも含めれば、待機児童数はさらに増えるとみられる。 ◆愛知の待機児童、名古屋市が75%認可保育園への待機児童が増える中、愛知県全体の4分の3を占める名古屋市の待機児童は2年連続で増加。今年4月時点で前年同期比で4割増と、全国平均を上回る勢いで増えている。子供を預けたい理由として求職活動を挙げた人が56%を占め、経済不況を背景に子供を預けて働こうとする人が増えたためとみられる。 同市の待機児童は、595人(前年同期428人)。うち、335人(同224人)が求職活動のため入園を求めていた。地域別では、新興住宅地が広がり、子育て世代が多く住む緑区が161人、守山区が139人と飛び抜けている。 名古屋市の待機児童は、2002年度から連続して減少していたが、昨年度から増加に転じた。市は解消策として、10月をめどに公立・民間保育所で235人を新たに受け入れることにしている。
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