保育園への入園を待つ、いわゆる「待機児童」が去年よりおよそ6000人増え過去最大の伸びとなったことが厚生労働省の調査で分かりました。そんな中、この数字に表れない「隠れた待機児童」の存在も明らかになってきました。
「本当に多くて8月の時点で100人を超えてしまった」(つくし保育園 福西三恵子 園長)
東京・世田谷区のつくし保育園。週に1度の入園相談会には、ひっきりなしに入園希望者が訪れます。
「(生後)2か月でまだ早いかなと思いつつ来てみたら、電話で100人待ちとか言われて、ちょっとへこみます」(入園希望者)
厚生労働省が7日に発表した保育園の待機児童数は全国で2万5384人。急速な景気の悪化などにより、去年より6000人近く増加し過去最高の伸びとなりました。しかし、この数字以外にも隠れた待機児童がいると専門家は指摘します。
「もっとたくさんの待機児童がいる」(「保育園を考える親の会」 普光院亜紀 代表)
実はこの待機児童数。利用料の安い認可保育園への入園を希望していても、認可されていない保育施設などに、すでに通っていれば数にはカウントされません。
ようやく入園できた保育園に片道30分近くかけて1歳7か月の結くんを通わせる浅野さん。自宅近くにある認可保育園への入園を希望していますが、今は入園できているために結くんも「待機児童」にはカウントされていません。
しかも、この保育園に通えるのは1年半後までと決まっています。この保育園には2歳児クラスまでしかないためで、その後は他の保育園を探さなければなりません。
「3歳は無理。完全に無理だよと言われて、そうすると入る場所がない」(結くんの母親・浅野麻理子さん)
すでに他の保育園への編入は難しいと言われている結くんは、今後は「待機児童」になる可能性が高いのです。また、この保育園のように、3歳未満の子供に限定して受け入れている保育施設も多いと言います。
「その後は本当にお先真っ暗というか、どうしたらいいか分からない」(結くんの母親・浅野麻理子さん)
このように保育園の事情などで今後、待機児童にならざるを得ない子供の数なども統計には表れません。「入ることも、入ってからも不安が尽きない」状況で、果たして、安心して子育てをすることができるのでしょうか。
「待機児童数に含まれませんので、こういった方々のニーズも見落としてはならない」(「保育園を考える親の会」 普光院亜紀 代表)
待機児童ゼロを目指して様々な取り組みを進めている厚生労働省ですが、こうした隠れた待機児童への対策は手つかずのままです。(07日18:03)