「ジョン・レノン・スーパー・ライヴとして、(清志郎さんのために)何かがしたい」。ジョンの未亡人で同ライブの主催者、オノ・ヨーコ(76)のそんな思いがスタッフや出演者の気持ちを動かした。
そこで浮上したのが、生前の清志郎さんの映像を、生きているかのようによみがえらせるアイデア。富士フイルムのCMでヨーコの出演作を手がけ、同公演にもユニット「THE SUNDAY DRIVERS」のメンバーとして出演するクリエーティブディレクター、箭内(やない)道彦(45)から出された。
箭内は「ジョンの魂とともに清志郎さんが来たように表現したい」と熱い思いを語った。具体的な構想はこれからだが、ヨーコとスタッフが一丸となって考案中だ。暗転の中、清志郎さんが天国から本当にステージに舞い降りたような、臨場感あふれる演出で客席を魅了することになりそう。
ここまでヨーコが情熱を傾けるのには理由がある。2005年の第5回公演で初出演した清志郎さんは、暗転したステージにペンライトの光が揺らめく中、自ら日本語詞を考えた「マザー」と「イマジン」を歌った。
「社会主義も 資本主義も エライ人も 貧しい人も みんなが同じならば かんたんなこと」(「イマジン」)などと独特の解釈で熱唱した。意表をつくパフォーマンスに、ヨーコは驚くと同時にジョンに通じる世界観を感じ、以後は毎回のように会うことが楽しみな存在になった。
だが、06年7月、清志郎さんは喉頭がんを公表。ヨーコは励ましの手紙を送り、清志郎さんは一時復活した07年、真っ先に同公演に出演して感謝の意を表した。その清志郎さんが5月に他界した時、ヨーコは「『ロックが世界を変える』と言って、あなたが熱唱した『イマジン』を決して忘れることはありません」と綴り、感謝と追悼のメッセージを寄せた。
同公演への出演はわずか2回に終わったが、清志郎さんのロック魂はジョンに似た強烈なインパクトを残した。ジョンの29回目の命日に、みたびジョンの魂と合体した清志郎さんが躍動する。
★泉谷しげる「思考停止になっちまったよ!」
ヨーコからの依頼を受け、清志郎さんをリスペクトしてやまない歌手、泉谷しげる(61)も初出演する。ヨーコから直々に手紙が届いたという泉谷は、「思考停止になっちまったよ!」などと自身のブログにアップ。憧れのジョンの歌を歌うことを楽しみにしている。
ほかに、俳優の山崎努(72)、山崎直子(36)父娘がナレーションを収録し、俳優の松山ケンイチ(24)がジョンの詞の朗読を行い、初出演を果たす。