何気なく、その店名や「野毛」をキーワードにネットを検索していると、投稿者がいずれも「名無しさん@お腹いっぱい」という、一瞬、同一人物なのかと思わせるような名前による投稿が連なっているサイトに辿り着く。最初の何行かを読んでいくと、どうやら不特定多数が普段から溜め込んでいるであろう不満を吐き出すのが目的ではないかと思われるようなサイト。
よく見ると、ここは2ちゃんねるの「野毛周辺飲み屋☆2」というタイトルの掲示板。私もうっかり不覚にも足を踏み入れてしまった。私も名前だけは耳にしたことがある。書き込まれている内容だけからの判断ではあるが、要するに、誹謗愁傷と雑言が大いに幅を利かせているサイトであることは明らか。このサイトは本来、野毛について語り合ったり、情報交換を行おう、というのが目的の掲示板。基本的にはプラスのことやマイナスのことも含め何でも良い筈ではあろうが、ネットという自分や相手が誰だか分からない仮想空間である以上、ある程度のエチケットなりマナーなりが求められてもおかしくない。
彼らは書き込みをしながら、何を考え、何を求めているのであろうか。自分がある店に入れなかったことによるイラダチからなのか、一緒に行ってくれる相手がいないことへの寂しさからなのか、店側に迷惑をかけて出入り禁止を宣言されたことによる腹癒せによるものなのか、あるいは、単に野毛に集う常連(同サイトでは「ノゲラー」と呼称)が楽しそうに盛り上がっているのに自分だけは蚊帳の外なのが悔しくて仕方がないからなのか、本当の理由は定かではないが、味わったことがないはずの店の料理や酒に対し、不当ともいえる悪口を競う合うように、そして何の根拠もなく並べている。
店側に対する誹謗だけに止まらず、投稿者同士でもイザコザが絶えない様子。悪口が悪口を招き、どうにもこうにも収束がつかない。何とかその場を収めようと努力しているとみえるヒーロー的な投稿者に対しても、「1人で良い子になるな」と言わんばかりに、さらなる雑言が飛び交う。誰にも邪魔されずに、誰からも指図されずに、自分の投稿を正当化しようと懸命な努力を試みる投稿者たち。行き場を失った彼らにとっての救いは、自分のアイデンティティーを大いに発揮できる仮想空間だけなのだろうか。野毛で溶け込むことができなくても、他に行き場所はいくらでもあろうに。
くだらないとは思いつつも、少し投稿を読んでみる。おぉ、小生のことや知人や知人の店も悪口のターゲットにされているではないか。中には盾になってくれている投稿もある。悪口を書かれてよい気分をする人は皆無であろう。ここの投稿者たちだって同じはず。彼らは一体、一対一で私やターゲットになっている知人や店主の前で同じ発言を宣うことができようか。われらの前で、同じような悪態がつけるであろうか。そう、一対一で。
え?「お前らなんかと一対一なんてキモくてヤダ!」ですって?そうかぁ、「キモい」という一言で全てを片付けてしまえるのかぁ。自らの恐怖心もこの一言でいとも簡単に隠し通すことができるなんて、実に便利な言葉ではないか。が、世の中、かように簡単にはいかない。
かくも馬鹿馬鹿しい空間での雑言は取りに足りぬ。ターゲットになっている知人や店主らも、かような掲示板で悪口をたたかれていることを知ったとて、「あっ、そぅ」と一蹴してしまうに違いない。仮想空間という逃げ場を盾に陰口しか書き込めない常習者に耳を貸すものはもはや存在しない。彼らはそのことに気づいていないし、気づこうともしない。陰口の押収は自らの心すら傷つけ、今後の成長にとっても大いに悪影響であることを、彼ら自身が心を開いて知ろうとしなければならない。
「それにしても、お前も2ちゃんねるの掲示板のことを書くなんて、キモいぐらいに暇人だなぁ」ですって?「はい、超暇なんですぅ(笑)」
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