

「政権選択」を焦点にした第45回総選挙の結果、民主党が308議席をとり、新政権が誕生することになりました。
政治が変われば、生活が変わります。これまで難しいと敬遠されがちだった政治ニュースが、これからは日々の生活に直結します。景気対策、子育て支援、雇用の確保、医療の充実・・・課題は山積しています。朝日新聞は特別取材体制を組み、暮らしのゆくえを広く、鋭く、深く追い続けます。
取材にあたるのは、全国津津浦々をネットワークする記者たちです。政治取材歴40年近いベテランから地方の現場で走り回る新人まで。新政権の動きをウオッチし、マニフェストのゆくえを点検します。私たちが未来を選択するために必要な情報を、さまざまな角度からすくいあげて提供します。
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新たな「憲政常道」を [8月31日朝刊1面より]
「09年8月30日」は後世、歴史年表に太い活字で特筆されるだろう。
日本の民主主義の前進が、衝撃的な数字で示された。
現職首相を退場させる。後継を指名して舞台に上げる。永田町の政争などを介さず、有権者自身の手でばっさりとそれをやってのけた経験は、過去にない。
明治憲法が発布された1889年から数えて120年、日本憲政史上初めての大事件である。
1955年の結党以来続いた自民党「第1党」体制も、ついに終止符を打った。
「政治改革」の20年が実を結んだ。
今回、有権者が真に選びとったものは何か。
「政権選択」の選挙ではあったが、際だったのは自公政権への逆風である。
「自民党をぶっ壊す」。小泉元首相が切ったたんかを、有権者は忘れていない。
小泉後のていたらくとの落差が大きすぎた。
有権者が望んだのは、民主党政権という以上に、政権の「交代」それ自体だったのではないか。
「政治はばくちじゃない」
麻生首相は政権交代機運にいら立ちを見せた。しかし、継続を断ち切って、変化に「賭ける」のも政治である。
政権交代をふつうに起こす新しい政治のあり方をこそ、有権者は求めたのだと考えたい。
当然ながら民主党のけいこ不足は否めない。「2大政党」というだぶだぶの服を、何とか着られるずうたいに育ったばかりである。それでも幕はいや応なく上がる。
「あすは我が身」の緊張感を保っていくしかない。「どちらに転んでもよりよい政治」(鳩山代表)の初心を、忘れてはならない。
自民党は「政権党」という、いまやほとんど唯一ともいえる存在証明を奪われた。しかし、このまま衰えに身を任せていいのか。
有権者が選んだ政治の新しいあり方を定着させるには、自民党の再生が欠かせない。理念、政策、組織をめぐり、身を切るような議論を始めなければならない。
大正から昭和にかけ、当時の2大政党が交互に政権を担う時代があった。「憲政常道」と呼ばれた慣行である。その評価は様々であり、現代と同列にも語れない。
ただ、私たち有権者は今、新たな「常道」を開く入り口にたどり着いたとはいえる。この達成を大切にしたい。
(政治エディター・根本清樹)
政権交代に関する紙面の一部をご紹介します。
■ 朝刊1面
・大型インデックスの
「政権交代関連ニュース」
お忙しい方でも政権交代に関する主要な情報を短時間でチェックできます。
■ 朝刊2面・3面
鳩山内閣発足に向けての民主党の動きや予算見直しのゆくえなど、政治や社会の枠組みにかかわる日々のニュースをお伝えします。
■ 政治面・政策面
政権移行にあたって、外交や政策への期待や課題をさまざまな角度から詳報します。
朝日新聞は選挙後の動きも克明に追いかけます。
新政権の誕生に先立ち、朝日新聞社は9月1日付で「政権取材センター」と「特別報道センター」をつくりました。政権取材センターは、予想される政治の激変を追う政権取材チームの司令塔で、政治、経済、生活、社会など各グループの記者が取材にあたります。特別報道センターは、新政権後の国と地方の関係、くらしの変化などを深い視点で取材します。朝日新聞は両センターを中心に政治の新しいうねりを追います。
コラムニスト 早野 透
編集委員 星 浩
日々のニュースばかりではありません。
テレビ朝日系列の「報道ステーション」でおなじみの朝日新聞編集委員、星浩の「政態拝見」(土曜日朝刊)、
朝日新聞コラムニスト、早野透の「ポリティカにっぽん」(月1回朝刊)はベテラン政治記者が綴る、とっておきのコラムです。