(cache) livedoor ニュース - この人物のオモテとウラ　どっこい　いまだに「大巨匠」

　７０年代の歌謡曲ファンには懐かしい名前だが、実は今も現役。しかも、「ゲーム音楽の巨匠」として若者に大人気というからビックリだ。

　人気ゲームソフト「ドラゴンクエスト」シリーズの音楽をすべて手がけている。この７月に発売された最新作「ドラゴンクエストⅨ　星空の守り人」は、すでに３５０万本と大ヒットしている。７８歳にして現役バリバリだ。

「すぎやまは両親ともに音楽やマージャンなどのゲームの愛好家で、その血を継いだすぎやまも子供の頃から音楽やゲームが大好きだった。『森田将棋』というゲームソフトのアンケートはがきに答えたのがきっかけで、８６年からゲーム音楽を手がけ始め、ドラクエのプログラマーとは会って５分で意気投合した。ドラクエの人気が高いのは“ゲーマー”のすぎやまの音楽だからこそ、という声もあるほどです」（雑誌記者）

　すぎやまはドラクエの音楽をオーケストラで演奏するコンサートも、毎年のように開催。忙しい日々を送っている。

　１９３１年４月１１日、厚生官僚の長男として、東京・下谷で生まれた。きょうだいは５人。本名は椙山（すぎやま）浩一だ。

　戦争中は千葉や岐阜に疎開し、終戦後、東京・荻窪へ。父親が物々交換で手に入れたクラシックレコードに夢中になり、中３の頃には「オーケストラの指揮者になりたい」と思うように。作曲も始め、成蹊高校３年のとき、子供用のクラシックバレエの組曲「迷子の青虫さん」を作曲して発表。作曲家としてスタートした。

●「ドラクエＩＸ」だけで３５０万本！！

　音大進学希望だったが、ピアノが弾けず断念。東京大学理科ＩＩ類に入学し、３年のとき、教育学部に転部。教育心理学科を卒業後、「音楽番組の制作に携わりたい」と、文化放送に就職し、５８年、開局前年のフジテレビに転籍した。

　ディレクターとして、音楽番組「ザ・ヒットパレード」やバラエティー番組「おとなの漫画」を企画・制作。同時に、ＣＭ音楽なども作曲し、６５年、作曲活動に専念するため退社した。フリーになってからは、「ザ・ヒットパレード」で縁ができた芸能プロダクション“渡辺プロ”のザ・タイガースなどの歌を作り大ヒットさせた。

　ザ・タイガースのレコーディングの際に知り合った、１１歳下のビオラ奏者・之子夫人と結婚。長男・時宗大（ときむねまさる）もフジのディレクターになり、現在、「ＭＵＳＩＣ　ＦＡＩＲ２１」の演出などを担当している。

　すぎやま自身は今や芸能関係にはうとくなり、「ドラクエ関連だけで手いっぱい」だという。しかし、好きな仕事で８０歳近くまで現役とは、サラリーマンにはうらやましいかぎりだ。

（日刊ゲンダイ2009年9月4日掲載）