この人物のオモテとウラ　加藤和樹

　つくづく罪作りな男だ。俳優兼歌手の押尾学は身勝手な薬物使用で妻・矢田亜希子の女優復帰を絶望的にしたうえ、後輩男優の前途にも暗雲を漂わせている。トバッチリを受けたのが今回登場のこの人、若手イケメン俳優の加藤和樹（２４）だ。加藤は来年春公開の映画「だから俺達は、朝を待っていた」の主役で、押尾は準主役。押尾のシーンが多くカットできないため、公開の有無について配給元のアステアではこれから協議に入るという。

　加藤は１９８４年、愛知県生まれ。０２年第１５回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで最終候補にまで残り、翌年、芸能界デビュー。ザ・ベイビースターズの大ファンで芸能界入りをしたが、すぐに壁に直面して約１年半、渋谷のタワレコなどでバイト生活をしていた。顔とは裏腹に、意外に苦労している。大学受験や地元に帰る選択肢も考えたが、再びザ・ベイビースターズの「去りゆく君へ」という曲と出合ったことから、音楽活動への目標がわき上がって、芸能界へ戻ってきたという。

　０５年８月「ミュージカル　テニスの王子様」で人気を獲得し、映画「仮面ライダーカブト」の風間大介＆仮面ライダードレイク役で脚光を浴び、綾瀬はるかと共演した日テレ系ドラマ「ホタルノヒカリ」で人気不動に。今年の３月に公開された映画「恋極星」で戸田恵梨香と共演した。現在はテレビドラマ「俺たちは天使だ！」（テレビ東京）に出演中。

　また音楽活動にも精力的で、デビュー２周年の０８年４月に日本武道館でコンサートを行っている。

　趣味は筋トレ。肩回りに筋肉がつきすぎて着ることのできる衣装がなくなったため、ドラマ「ホタルノヒカリ」撮影中に“筋トレ禁止令”が出たという。

　加藤を知る関係者の話では「一言でいえばマイペース。一見、ツッパリを気取っているイケメンだが、実はさわやか。楽屋では無理して人と合わせるわけでもなく、偉ぶらず、謙虚」。気になる女性問題だが、目立った噂がないところから「自己管理がしっかりしているのでしょう」。これも押尾とは大違いだ。

　加藤にとって初主演となる映画「だから俺達は――」は、「ホタルノヒカリ」の演技に対する伸び悩みを払拭したいという、並々ならぬ覚悟で取り組んだ。

　ライブでは必ず「男だらけの現場は映画では初めてなので、ある意味気楽で毎日が楽しい」と撮影エピソードを披露していたという。共演者もそれぞれ個性的だが、撮影の合間も和気あいあいとして、「現場でアドリブ的に芝居が生まれることもある」と楽しそうに語っていた。

　そんな加藤に「初主演の映画がオクラになるかもなんて、かわいそ〜」と、ファンからも心配の声が上がっている。

　イケメン俳優・加藤の男くささも、このまま封印されるのか？

（日刊ゲンダイ2009年8月12日掲載）