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DNA入り「ご神体」で10億円所得隠し 金沢の宗教家(2/2ページ)

2009年9月7日3時1分

写真:宗教家が100万円で販売した「ご神体」。上面に自分のDNA情報を入力したとされる電子チップがはってある宗教家が100万円で販売した「ご神体」。上面に自分のDNA情報を入力したとされる電子チップがはってある

 登記簿などによると、宗教家は08年4月になって、石川県白山市の真宗大谷派「歓信寺」を1千万円で買収、代表役員に就任し、単立の宗教法人に変更した。同寺は02年に火事で全焼し土地は転売され、休眠状態だったという。大谷派金沢教務所は朝日新聞の取材に対し「過去は分からないが、同名の寺は登録されていない」としている。

 宗教家は、80年から個人で金沢市を拠点に国内外で講演したり、講演内容をまとめた本を出版したりして活動。信者は国内外で約450人おり、「ご神体」は講演や口コミで広まったという。宗教家のつめを入れた置物も300万円で売っているという。

 宗教家は、朝日新聞の取材に対し「命が助かるなら100万円はないに等しい。収入は信者の救済活動に充てたいと残していた。国税局と見解の相違はあったが、国を養うというロマンのつもりで指摘に従った」と話している。(中村信義、後藤太輔、村上英樹)

     ◇

 〈宗教法人の税制〉 宗教法人がお布施など宗教行為で得た所得は公益事業として非課税となる。物品販売業など税法で定められた収益事業は課税されるが、収益事業で得た所得の2割まで控除できるうえ、残った8割に対する税率も22%(一般法人は30%)と優遇されている。このため、宗教法人を受け皿にして税負担を軽くしたり、宗教行為による所得を装って税逃れをしたりして、国税当局から追徴課税されるケースが後を絶たない。国税庁によると、08年6月までの1年間に法人税の税務調査を受けた宗教法人のうち、所得隠しを指摘された割合は6.3%(公益法人全体は4.7%)だった。

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