2009年9月4日 22時15分 更新:9月5日 1時13分
民主党は新政権発足後、基金向け支出を中心に、09年度補正予算を抜本的に見直し、「子ども手当」などの財源確保を目指す。だが、政権交代という国側の事情による予算見直しに対し、地方側が反発するのは必至。支払い済み予算を強制的に回収するのも難しく、「地方に事情を説明し、理解してもらうしかない」(財務省幹部)状況だ。
7006億円を21基金に支出する農林水産省は4日現在で、5670億円の交付を決定。このうち、民主党が「効果が薄い」とする農地集積加速化事業の2979億円を含む、計3713億円の支払いを終えた。
複数年度にわたる事業に必要な予算をまとめて払い込んでいるため、実際に使われたのは3億円弱。民主党は基金への新たな支出をやめるほか、すでに支払った分についても返還請求を検討する。民主党の方針を踏まえ、農水省は4日、間伐材の利用拡大を図る森林整備加速化・林業再生基金の新規の交付決定を凍結することを明らかにした。
とはいえ、基金に支払った予算を円滑に回収できる保証はない。都道府県や公益法人などは、国からの交付金を前提に基金の創設を進めており、総額4.3兆円のうち4割を支払い済み。補助金適正化法が補助金などの交付取り消しを認めているのは「天災地変などで事業を継続する必要がなくなった場合」などに限っており、地方の理解を得られなければ、回収は難しい。
6月議会で、緊急雇用創出などの基金に入る561億円を前提にした補正予算を可決した神奈川県は「基金を取り崩す場合、改めて議会の承認が必要になる」(財政課)と困惑。宮崎県の東国原英夫知事は4日、記者団に「9月県議会に提案する補正予算は、国からの基金向け支出が主なので、凍結されると財政はぐちゃぐちゃに混乱する」と強調した。【平地修、久田宏】