「高速道路無料化」をマニフェスト(政権公約)に掲げる民主党への政権交代に伴い、広島市内のカー用品店では、自動料金収受システム(ETC)車載器の売れ行きが鈍っている。品切れ状態が続く人気ぶりから一転の「失速」。メーカーも生産ペースの見極めに戸惑っている。
中区のモンテカルロ吉島店では、ETC車載器の購入助成が始まった3月は月700台を売り上げた。休日の高速道路料金が一律千円に引き下げられた3月下旬から8月中旬までは、品切れ状態が続き、予約待ちへの対応で精いっぱいだった。
しかし、衆院選公示の8月18日前後、世論調査などで民主党が政権奪取する可能性が高いとの結果が出始めると、ETC車載器の売れ行きには急ブレーキがかかった。現在は1日に2、3台が売れる程度。棚いっぱいに商品が並ぶ。
同店の森山剛さんは「9月の大型連休に向けて在庫をそろえておくべきか、発注を抑えるべきか、先行きが見通せない」と顔を曇らせる。
電装品販売・修理の山陽メーター(中区)でも、取り付け予約をキャンセルする人が出始めた。「無料化になると車載器は不要になるのか」といった問い合わせも後を絶たない。松尾武徳部長は「どの道路が無料になるのかはっきりせず、答えられない」と困惑する。
【写真説明】販売員(右)からETC車載器の説明を受ける客(広島市中区のモンテカルロ吉島店)
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