本書の内容は、第一部が「常識で考える憲法」との題で、近年『正論』に発表された十七篇が載せられ、第二部では「天皇、靖国訴訟、そして憲法改正」と題されて「女系天皇と『皇室の危機』」「自民党新憲法草案と改憲の焦点『第九条』」「民主党改憲試案への疑問」など七篇が、そして最後に特論として「思想・良心の自由と国旗・国歌問題」が掲載されてゐる。 一般に憲法や法律の正しい理解には、ある程度専門的な知識を必要とする。しかしその点、百地教授は「本質的に大事なことをできるだけ易しく話す」ことをモットーとして、常識人であれば誰にでも分かるやうに問題の解説と解明を試み、良識ある正しい理解に読者を導くやう努めてきたと言ふ。それだけに、学術論文の書とは違って一般向けの平易なものに限定されてをり、その点で神社関係者にとっては格好の書といへよう。とくに、日本国憲法の改正草案づくりをめざして熱心に勉強を続けてゐる神道青年全国協議会の若い神職の皆さんにはぜひとも手にして読んでもらひたいと思ふ。さきに出版された『憲法の常識 常識の憲法』(文春新書 平成十七年)と併せて、ここに推薦する次第である。 〈2415円、成文堂刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉 (神道政治連盟首席政策委員・田尾憲男)
|