「神の國の在るべき姿を探求せよ!」と帯に明記された本書に一貫して流れるのは、「日本人にとって神とはどのやうな御存在なのか?」といふ、素朴ではあるが大きな問ひである。その問ひに答へるため、本書は「第一部 日本人と神―『聖なるもの』への畏敬―」「第二部 聖徳太子の説かれた『公と私』―『國體』を創つた『十七條憲法』―」「第三部 日本人の『在るべき樣』は?―國民宗教としての自然信仰―」「第四部 守護神としての靖國の神―『怨親平等』觀を超えて」との興味深い主題を設定し、それぞれについて丁寧に述べる。 そこで論じられる事柄は、多くの現代人にとって、日常、意識はしてゐなくとも、心の奥底にある何ものかに触れる内容と言ってよい。 日本人にとって神とはどのやうな御存在なのか?そして、六十数年前に戦に敗れ、自らの神を異教徒に抹殺されかかったのに、なぜ今も多くの人が神社にお参りするのか?本書を読みながら、そのことを静かに、しかし繰り返し考へてみたい。 〈1680円、海竜社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉 (近現代史研究家・松枝智瑛)
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