2009衆院選

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岐路の夏:09衆院選 路上生活、票なき声 争点にもならず…

 失業などで住まいを失い、自治体の選挙人名簿に登録されず「1票」を投じられない人々がいる。選挙と政治をどう見つめているのか。収入を得るため、街頭で雑誌「ビッグイシュー」を売り、自立を目指す人たちに聞いた。【小林多美子】

 東京・新宿を拠点にする越澤保幸さん(54)は約6年前に体調を崩して働けなくなり、アパートを追い出された。「死ねば楽になる」とも考えたが、ビッグイシューを売り始めて人の温かさを知った。買ってくれる人たちに「応援してます」と声をかけられる。障害のある人や、小さい子を連れた人もいる。政治にはそのぬくもりが感じられない。「弱者に光を当てる政治家に投票したいのに」。雑誌を掲げ、日々国道沿いに立つ。

 JR御茶ノ水駅前で売っている男性(37)は昨年2月、寮付きの警備員の仕事を失った。今は新宿駅の地下街に寝泊まりするが、新聞だけは毎朝必ず買う。生活保護の申請を拒否され餓死した人の記事を目にすると、人ごととは思えない。この生活をして気づいたのは「路上生活者の問題を争点として取り上げた記事を読んだ記憶がない」こと。2年前の参院選は投票に行けたが、総選挙に意思を示せないのがもどかしい。

 1票を取り戻した人もいる。JR渋谷駅前で販売する男性(62)は昨年末、アパートに入居した。不動産を持つ読者が敷金・礼金、保証人不要で貸してくれた。路上生活の時は選挙カーを見ても「関係ない」と深く考えないようにしていたが、7月の都議選で約10年ぶりに投票箱の前に立ち、胸が熱くなった。「国民の義務を果たした気がしてねえ」

 ビッグイシューは有限会社ビッグイシュー日本(大阪市北区)が発行。時事問題から娯楽情報まで幅広い話題を取り上げている。定価300円のうち160円が販売した人の収入になる。全国12都道府県の路上生活者ら約150人が販売しており、03年9月の創刊から今年3月までの販売者の収入は計3億7900万円。

毎日新聞 2009年8月19日 東京朝刊

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