【裁判員判決】強盗強姦罪懲役15年 「軽すぎる」「男性社会の視点」
9月5日22時42分配信 産経新聞
《検察側の求刑ですら軽すぎる》《被害者の心境を考えれば、死刑に相当するのではないかとさえ思う》。4日、青森地裁で求刑通り懲役15年の判決が言い渡された全国3件目の裁判員裁判。「あなたが裁判員ならどのような判決を言い渡すか」について読者の意見を募ったところ、過去2件の裁判員裁判を大きく上回る件数が寄せられた。そのほとんどすべてが、強盗強姦の被害に遭った2人の女性の心情をおもんぱかるものだった。
《女性にとって強姦されるということは、死よりも辛く、悔しく、恥ずかしく、耐えがたい苦しみです》
このようなメールを寄せた女性は《検察の求める懲役15年ですら、短すぎます》と、強盗強姦罪の法定刑の上限である無期懲役を選択。《強姦罪に対する判決の現状は甘すぎます。それは、男性社会の視点でしか裁かれていないからです》としたうえで、今回の事件の裁判員6人のうち5人を男性が占めていたことに疑念を呈した。
ただ、読者からの意見を見る限り、量刑判断に男女の性差はあまりなかった。大阪府内に住む61歳の男性は《社会復帰させるべきではない》と無期懲役が相当と判断。《性犯罪は再犯率が高い》と指摘した20代の男性も同じ結論だった。
一方で法科大学院に通う女性は《被害者の方々の想像を絶する苦しみを考えたら、被告には一生刑務所に入っていてほしいと思います》としながらも、《殺人や傷害致死で裁かれる被告との刑罰の均衡を考えたら、悔しいけれど懲役12年程度が上限かと考えました》という結論に至っていた。
今回、弁護側は被告のために酌むべき事情の一つとして、母親と死別し祖母に育てられた被告の生い立ちを挙げた。だが、理解を得るのは難しかったようだ。
《育った環境を理由に酌量を求めては、同様の環境に育つ者が犯罪予備軍とされることを認めることになるのではないだろうか》。こう疑念を示した男性は、懲役15年が相当という意見。《更生を援助する環境が犯行の一因でもある成育環境と変わり映えしないのに、どう更生させるというのか》という36歳の女性は《少なくとも被告が今まで生きてきた年数》の刑を望んだ。
また、「懲役5年が適当」との弁護側の主張も、48歳の男性は《被害者の心の傷は5年で癒されるものではない。なのに被告の更生が5年で行えるというのは虫がよすぎる》。《被告への同情と更生も期待できそうなので、求刑から2割減刑して懲役12年》とした京都市の43歳の男性も《懲役5年というのは、あまりにも軽いように思います。かえって逆効果だったのでは》という見方だった。
通常、弁護側が具体的な数字を挙げて量刑への意見を述べることは少ない。主任弁護人は「正しいかどうか分からない」「裁判員の参考の一助になれば、と思った」と話したが、これには全国初の裁判員裁判で弁護側が「求刑は不当に重い」と主張するにとどめたことに、裁判員の一人が「弁護側は何年が妥当だと思うのか参考に知りたかった」と感想を述べたことも影響したのかもしれない。
始まったばかりの裁判員制度。弁護方法だけでなく、被害者のプライバシー保護や裁判員の守秘義務のあり方をめぐっても、まだまだ試行錯誤は続くのだろう。
◇
だれもが選ばれる可能性がある裁判員制度。今後の裁判員裁判でも、あなたが裁判員ならどのような判決を選ぶか、ご意見を募集していきます。Eメール(anatamo@sankei−net.co.jp)でお寄せください。
【関連記事】
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・ 3例目 判決(上)検察側の求刑通りの判決 伏し目がちな裁判員…被告見据える女性裁判官
・ 【主張】性犯罪と裁判員 被害者に配慮した審理を
《女性にとって強姦されるということは、死よりも辛く、悔しく、恥ずかしく、耐えがたい苦しみです》
このようなメールを寄せた女性は《検察の求める懲役15年ですら、短すぎます》と、強盗強姦罪の法定刑の上限である無期懲役を選択。《強姦罪に対する判決の現状は甘すぎます。それは、男性社会の視点でしか裁かれていないからです》としたうえで、今回の事件の裁判員6人のうち5人を男性が占めていたことに疑念を呈した。
ただ、読者からの意見を見る限り、量刑判断に男女の性差はあまりなかった。大阪府内に住む61歳の男性は《社会復帰させるべきではない》と無期懲役が相当と判断。《性犯罪は再犯率が高い》と指摘した20代の男性も同じ結論だった。
一方で法科大学院に通う女性は《被害者の方々の想像を絶する苦しみを考えたら、被告には一生刑務所に入っていてほしいと思います》としながらも、《殺人や傷害致死で裁かれる被告との刑罰の均衡を考えたら、悔しいけれど懲役12年程度が上限かと考えました》という結論に至っていた。
今回、弁護側は被告のために酌むべき事情の一つとして、母親と死別し祖母に育てられた被告の生い立ちを挙げた。だが、理解を得るのは難しかったようだ。
《育った環境を理由に酌量を求めては、同様の環境に育つ者が犯罪予備軍とされることを認めることになるのではないだろうか》。こう疑念を示した男性は、懲役15年が相当という意見。《更生を援助する環境が犯行の一因でもある成育環境と変わり映えしないのに、どう更生させるというのか》という36歳の女性は《少なくとも被告が今まで生きてきた年数》の刑を望んだ。
また、「懲役5年が適当」との弁護側の主張も、48歳の男性は《被害者の心の傷は5年で癒されるものではない。なのに被告の更生が5年で行えるというのは虫がよすぎる》。《被告への同情と更生も期待できそうなので、求刑から2割減刑して懲役12年》とした京都市の43歳の男性も《懲役5年というのは、あまりにも軽いように思います。かえって逆効果だったのでは》という見方だった。
通常、弁護側が具体的な数字を挙げて量刑への意見を述べることは少ない。主任弁護人は「正しいかどうか分からない」「裁判員の参考の一助になれば、と思った」と話したが、これには全国初の裁判員裁判で弁護側が「求刑は不当に重い」と主張するにとどめたことに、裁判員の一人が「弁護側は何年が妥当だと思うのか参考に知りたかった」と感想を述べたことも影響したのかもしれない。
始まったばかりの裁判員制度。弁護方法だけでなく、被害者のプライバシー保護や裁判員の守秘義務のあり方をめぐっても、まだまだ試行錯誤は続くのだろう。
◇
だれもが選ばれる可能性がある裁判員制度。今後の裁判員裁判でも、あなたが裁判員ならどのような判決を選ぶか、ご意見を募集していきます。Eメール(anatamo@sankei−net.co.jp)でお寄せください。
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最終更新:9月5日22時48分
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