▽医師確保拠点づくりも
府中市健康地域づくり審議会(会長・寺岡暉社会医療法人社団陽正会理事長)は3日、市と近隣の新たな医療体制の構築に向けた基本指針をまとめ、伊藤吉和市長に答申した。地方の医療を守るため、公立、民間病院による「共同体」づくりや、医師確保の拠点づくりなどを求めている。
答申は、官民の枠組みを超えて現行の医療制度の課題解消に取り組む異例の内容。実現すれば地域医療再生のモデルケースになる可能性もある。
共同体は府中地区医師会圏域の府中市、福山市新市、芦田、駅家町、隣接する神石高原町を想定。病院間の医療機能を分担し、限られた人材を共同で確保・活用するなどして地域全体で効率的な医療を提供する考え。
府中市立府中北市民病院(上下町)、JA府中総合病院(府中市鵜飼町)、寺岡記念病院(新市町)を共同体構築の推進役と位置付け、他の民間病院の参画も促す。
「地域医療人材センター(仮称)」は医師確保の受け皿。大学病院などと連携して広域性を生かした実地研修を展開し、都市部に流出する若手医師の確保を図る。
答申は共同体構築の前提として、経営難が続く府中北市民病院、JA府中総合病院の経営見直しにも言及。2011年度末までに北市民病院を地方独立行政法人化し、JA病院を統合させる必要性を指摘している。
指針づくりは、伊藤市長が2月に審議会に諮問していた。(松本恭治)
<答申の骨子>
(1)地域の病院間で業務範囲を適切に分担するなど、最も合理的・効率的な医療提供体制を「共同体」によって実現すべきである
(2)府中市立府中北市民病院を地方独立行政法人化し、経営を立て直す。JA府中総合病院は北市民病院と統合させる必要がある
(3)共同体内に「地域医療人材センター(仮称)」を設置。医師などの確保や活用、養成を、大学病院などと連携して行う必要がある
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