「デイリースポーツ後援・亀田興毅世界前哨戦」(5日、ディファ有明)
WBA世界フライ級1位・亀田興毅(22)=亀田=が、ウンベルト・プール(34)=メキシコ=を5回2分29秒KOで下し、世界前哨戦を飾った。5回に左ボディーと左ショートで3度のダウンを奪う完勝。11月に行われるWBC世界フライ級王者・内藤大助(宮田)とのタイトル戦へ向けて大きく弾みをつけた。また、リング上で日本ボクシングコミッション(JBC)に対して父・史郎氏(44)のセコンド復帰の許可を求めた。
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5回、狙い澄ました左ボディーでダウンを奪うと、あとは興毅の独壇場だった。プールが立ち上がったところを右フックからの左ショートで2度目のダウン。再度立ち上がってきたプールにロープを背負わせ、左カウンターでフィニッシュ。計3度のダウンを奪い世界前哨戦を締めくくった。
内藤戦に向けての“必殺技”はついに出ずじまいだった。「もっと手を出してほしかった」と対戦相手への物足りなさを口にした興毅は「やりたいことがあったのにな。必殺技も出せへんかったわ。内藤に必殺技が当たればテンカウントや。10秒じゃ立ち上がれんやろな」と言い放った。
豪快なKOで前哨戦を飾り、既に心は内藤戦モードに突入していた。試合に招待していた内藤が会場に現れなかったことに「盛り上げよう言うてたのに、言うてることとやってることがちゃうやんか」と怒りをあらわにしながらも「まあ俺が逆の立場やったら来ないけどな」とボケをかまし、亀田節をさく裂させた。
またリング上からJBCに対し、トレーナーライセンス無期限停止処分中の父・史郎氏の処分を解くよう懇願。「オヤジがセコンドにつけるよう日本ボクシングコミッションの方お願いします」と頭を下げた。これに史郎氏は「それだけ必要とされてることやな」と唇をかみしめた。
この日一番の収穫を「本番のリングで踏ん張ってしっかり出来たこと」と胸を張った興毅は「(内藤とは)やる運命やったんや。大毅がやられてるし、兄貴としてきっちり勝って2階級制覇させてもらいますわ」と、因縁の内藤戦へ高ぶりを抑えられない様子だった。