河北春秋

 医師や看護師がヘリコプターに乗って救急現場に急ぐドクターヘリ。NPO法人・救急ヘリ病院ネットワークのホームページによると、今年は日本でこのシステムが試行的に始まって10年▼NPOの理事長を務めているのが元警察庁長官の国松孝次さん(72)だ。14年前、銃で狙撃され生死の境をさまよった。手術を担当した医師から「東京だから助かった」と言われたという

 ▼撃たれてから手術開始までわずか30分だった。これが生死を分けた。後にスイス大使となり、ドクターヘリが充実した現地の実情をつぶさに知る。日本でも―と普及を目指して駆け回っている▼東北のような広大で、かつ医療過疎地が点在する場所でこそヘリ救急の充実が望まれる。岩手県のベテラン救急医が「救急車を使うより助かる命がぐんと増えるはず」と悔しがっていたのを思い出す

 ▼問題はむろん経費。1機に年間約2億円の運営費がかかる。全国50カ所に配備するとすれば、総額100億円。けれど、国民1人当たりの負担は年にたった80円だ。高いだろうか安いだろうか▼NPOの研究では、年間2万5千人がヘリで救護され、救命率は従来より3割は向上する。高速道の無料化だ、子ども手当だ、と持ちきりだけれど、命にかかわる救急医療の整備の方が優先順位は上では?

2009年09月06日日曜日

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