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きょうのコラム「時鐘」 2009年9月6日
また、仏像盗難事件である。春の京都に続いて、今度は奈良の元住職の犯行だ。流通ルートらしきものまで浮かび上がった。根は深そうである
宗教専門紙によると国内の盗難仏像はこの3年で約250体になるという。人里離れた無住職の寺院で何年も秘められた仏様が多いから、盗まれていることに気づかないケースもあると推測され、実数はもっと多いとの見方もある かつて能登でも「秘仏」の盗難事件が起きた。33年に1度しかご開帳されない習慣が犯行発覚を遅らせた。一方、黒部市ではこんな話もあった。盗難が続いた野菜の無人販売所に「しめ縄」を張った石を店頭に置いたところ、被害が半減したのである しめ縄石が宗教心を呼んだのかもしれないと推測された。もともと野菜は「腹の足し」に、宗教は「心の足し」になるものであり、納まる所が違うのだが、心のよりどころとする仏像を「腹の足し」にしてしまう者が出てくるのが現世だ 宗教心のない者の救いがたい犯行か。いや、そのような者を救うため身を捨てて売られていくのが神仏なのか。色々思うと、やはり事件の根は深い。 |