ところが、双葉山と並ぶ12回目の優勝を目指す白鵬の稽古量がたった11番。10勝5敗に終わった先場所の雪辱を期すはずの朝青龍に至ってはその半分以下の5番。それも日馬富士、琴欧洲の2人を相手に3勝2敗という体たらくで、目玉の両横綱の対決もないまま、わずか10分弱で切り上げてしまった。
まさに内容、量ともに史上最低の稽古総見と言っていい。これには、もともと辛口の内館牧子さん(脚本家)も顔色を変えた。
「つまらないと言えば、マスコミで報道されて秋場所の客足に響くし、血圧もあがって自分の健康にも良くないんだけど、稽古を見ているうちにだんだん自分の表情が険しくなってくるのがわかった。朝青龍は5番ですもの。体つきも白くてプヨプヨしているし、白鵬も朝青龍より番数は多かったけど、すぐ息があがって肩で息をしていた」。
内館さんの少し寂しそうな表情も印象的だった。
「私はもう任期切れ間近で、稽古総見にはあと2回しか出られないけど、やっぱり大相撲界にも(先月末の選挙で大勝した民主党の)小沢さんのような強力なリーダーが必要だわ」。
どうしてこんなことになったのか。白鵬は「向こう(朝青龍)が先輩横綱なんで。誘われたらやるつもりだった」と横綱対決に前向きの姿勢を見せていた。
しかし、朝青龍は「今日は四股だけ踏むつもりで来た。稽古をやっても、2、3番と思っていたのに、5番もやってしまった。(右)ひざが良くないんだ。横綱対決? そんなの、やってる場合じゃないよ」と白鵬の目配せをまったく無視。
朝青龍ペースで稽古が終了してしまったのだ。
優勝からも3場所続けて遠ざかり、いまやその存在の弊害ばかりが目立つ朝青龍。腐ったリンゴと同じで、大相撲界のためにはもう放り捨てるしかないのかもしれない。(大見信昭)