民主党が「政権交代」を叫んでいる。しかし、本当に同党に政権を任せていいのか。政権選択の選挙が近づいているが、まだまだ、その本質は国民に認識されているとはいえない。政権選択の前に知っておくべき民主党の知られざる素顔に迫る。まずは2回にわたって民主党が提出している議員立法について解説する。
国立国会図書館内に「先の大戦及びこれに先立つ一定時期」の惨禍の実態を調査するための「恒久平和調査局」を新たに設置する。
戦争責任の糾明努力が不十分との観点から、鳩山由紀夫代表らが中心となって取りまとめた。「戦争責任追及法案」と呼ばれることもある。
具体的には、(1)政府、旧陸海軍の責任(2)労働者確保のために行われた徴用と就労の実態(3)旧陸海軍の関与による性的強制被害の実情、実態−−など。
国会図書館長には強力な資料提出要求の権限を付与する。場合によっては衆参両院議長を通じて内閣声明を要求することもできる。
このための経費は年約2億5000万円。調査期間に定めはなく、ほぼ恒久的な機関となる。
また、公務員の人件費抑制、定数の大幅削減を打ち出している民主党だが、新しい部局の設置にともない同図書館の定員を増やすこととしている。
同法案の早期成立に向け署名活動などを展開している左翼系団体もある。
いわゆる慰安婦問題の解決を図るため、政府に金銭の支給を含む謝罪と名誉回復のための措置を講ずることを求める。
具体的には政府に、解決促進を図るための基本方針の策定などを義務付けるとともに、内閣府に総理を議長とする「戦時性的強制被害者問題解決促進会議」を設置し、実態調査などを行う。
昨年の通常国会に提出されたが、審議未了のまま廃案となった。
社民、共産両党との共同提案。
なお、「民主党政策INDEX2008」には靖国神社に関して「戦前は国家神道の一つの象徴的な存在として位置づけられ、国家が戦争を遂行するにあたり、戦地に赴く国民の精神的支柱としての役割を担ったことは、歴史上の明白な事実です。内外に多くの犠牲をもたらした先の大戦を国策として立案・指導したA級戦犯が合祀(ごうし)されている靖国神社に、総理が参拝することは好ましいことではありません」と記述し、同党の国家観、歴史観を端的に示している。
女性の地位の向上、男女の対等な婚姻関係を構築するため、女性の再婚禁止期間を現在の6カ月から100日に短縮するほか、選択的夫婦別姓を導入する。
この問題はわが党でも議論されたが、「家族の絆(きずな)を弱める」との反対論が根強く、改正は見送られた。注意しておくべきは、同党の考え方の背景に、極端な男女共同参画社会への発想があることだ。
同党は「真の」男女平等のための基盤づくりを行うため、教員、医療従事者、警察官などへ男女平等教育を普及させる考えを示しているほか、男性の家庭参加促進教育も強化するとして、徹底した男女平等思想を普及させようとしている。