■狼になりたい - 第1回

第1回

カテゴリ : 
狼になりたい
執筆 : 
芦田豊雄 2009-3-29 20:09
 これより連載を始める。
 これは告発ではない。世間に対する告白文である。

 私の様なフリーランサーのアニメーターや演出を一匹狼なんて言うが、一匹狼なんかじゃない。
 モグラである。

 私はスタジオ・ライブという零細アニメスタジオを経営しているが、フリーのアニメーターだ。 フリーのアニメーターの所に、フリーのアニメーターが集まっている。そんな会社である。

 作画机に頭をつっこみ、深夜、黙々とコンテを描き作画をするモグラである。
 自分の腕だけが頼りの一匹狼を気取り、おだてられ、40年間これをやってきた。


 アニメーターや演出はアンパンの餡(あんこ)みたいなものである。
 そのあんこを包みこみ、彩色、撮影や脚本、声優、音響などの技能職がアンパンの生地を構成する。
 そして製、制作が全体をやさしく(笑)包む皮の役目をしている。
 アンパンの皮はキラキラツヤツヤとして旨そうに見える。
 しかしアンパンの中核である餡の腐蝕が進んでいることをみんな知っている。
 でも面倒なので知らないフリをしている。
 日本の全国に4500人!のアニメーターと演出がいると言われている。
 これから書くことは4500人の0.001%、4、5人のお金持ちの?モグラを除いての話である。

 私らモグラの平均時給は500円程である。年収600万円から年収100万円弱までの出来高給を足して割り、時給換算した数字だ。
 時給にしたのは、カタギの人(笑)にも判りやすくするためだが、500円の根拠は後に書くことにする。
 時給500円の程度の人たちは、業界でも恵まれて!いる方で、ここには優れた技術者が多数含まれていることも後に書く。

 ここまで読んで、ある種の寒気が走った人がいる筈だ。
 優れた技術者でも時給換算500円程度。
 例えば東アジアの国が倍額を保障したとしても、簡単に雇い入れることのできる数字である。
 外資が欲しいのは、声優や彩色等ではない。それ等のパートは自国で持っているからだ。このことも後に書くことにする。

 JAniCAが発進しようとしている。
 今の所、アニメーターと演出のための集まりである。
 しかし、これに異を唱え、反発しているのは当のアニメーターと演出の人達であろう。
 なぜだ!!?

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