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■狼になりたい - 第9回 ≪作監様よろしく≫
各話作監の清瀬さんが作監作業に入る。
cut袋には、今回もたくさんの<作カン様よろしく>「監ヨロ」が貼ってある。
今回は手抜きの所沢さんも原画に参加しているし、原画レベルに達していない新人も3人で、45cut混じっている。
低値バブルの中でアニメの作品本数が増え、アニメ専門学校卒でもBランクレベルを使わざるを得ないからだ。
今の作画監督は大変である。
私、芦田の時代は60点レベルの原画があれば、80点まで引き上げ、作品全体をできるだけ100点に近づけることが仕事だった。
確かに原画マンに免許はいらない。
しかし、30点、40点レベルの人が原画をやらせてもらう事などあり得なかった。
今の作監は本当に気の毒である。
手抜き原画に追加原画を描きくわえ、30点レベルを60点に引き上げ、キャラ修正を入れたところでタイムアップだ。
これは、レイアウトとラフ原画に対する作業である。このスケジュールは10日程しかない。今回のカット数は330cut。気になるカットはたくさんあった。しかしオンエアに間に合わなくなる。
別の会社の作監も引き受けている。そちらもUPが迫っている。
こうして、所沢さん、田無さん、清瀬さんみんなが自分の仕事に不満を持ち、お互いに不信を持ちながらオンエアされることになるのだ。
作画監督やキャラクターデザイナーは、若いアニメーターの憧れである。
作監・清瀬さんの収入もきっと華々しいだろう。
TVシリーズは1話分手取りで平均22万〜25万であろうか。
1話に付き作監は2度ある。
一度目はレイアウトとラフ原画チェック。
300cut程を10日のスケジュール。
1日30cutを10日はキツイ。
こぼれて2週間はかかるだろう。
二度目は原画が上がってから300cutを10日。
これはレイアウト時、修正を入れてあるので10日〜12日で上がるかもしれない。
私の時代の作監は、1本2週間強あった様に思う。
清瀬さんの作監料は手取りで22〜25万くらい。上をとって250000くらいとしておこう。
空き(アキ)が出るため、清瀬さんも他社の仕事も受けている。
若手アニメーターの憧れ、清瀬さんの1日の収入は10400円程。
28日働いて月収291200円。
時給換算800円。
年齢は37歳くらいであろうか。
これを読んだ若手の君は、この数字をどう思っただろうか。「作監っていいなー」と思っただろうか。
もちろん、もっと稼いでいる「特別な人」は点在しているだろう。
これは告白文であると、この連載の冒頭に書いた。
業界の重鎮になってゆくと、これらの事は見えなくなって来る。
総論でしか話せなくなってくる。
総論は宗教の様なモノだ。
その場の説得力はある。総論は麻薬である。醒めると現実がある。
私は重鎮にはほど遠く、軽薄なお調子者である。
私も周りに総論を述べて、自分で気持ち良くなってしまう事も多い。
人は今日に明日に生きている。
10年後なんてファンタジーと同じだ。
アニメーターの現実、お金の事、この様な事が現場から表に出るのは初めてだろう。
私はそれをサボッて来た。
私達ベテランの責任は重い。
だから告白文なのだ。
「芦田はアニメ業界の恥を世間に晒す裏切者だ」
「これでは、ますます優秀な人材が来なくなってしまう」
安心して良い。世間は知っている。
若者は「知っていて」業界の扉を叩いているのだ。
ナメてはいけない。
その時点で覚悟があるという事だ。
日本のアニメーションは滅びてゆくと言う人は多い。終末論である。
終末論は人を引きつける。
当事者である我々でさえ、その話で暗く盛り上がる。
日本のアニメーションに関わっている人は、直接、間接、家族も含め、30000〜60000人くらいであろうか。
多くの人が生活を失うのだ。
アニメーションに関わっているサラリーマンの多くも、配転ではなくリストラの対象になるだろう。
冗談ではない。アニメーションはもっともっと良くなっていかなければならない。
攻撃に勝る防御はないのだ。
アニメマニア、おたく君にはコマッた人もいるが、アニメーションを愛し、将来を心配してくれている人の方がずっとずっと多い。
「アニメーター募金」なんてスゴイことを言い出す人もいたのだ。
アニメファンの悪口を言う業界人はどうにかしている。
cut袋には、今回もたくさんの<作カン様よろしく>「監ヨロ」が貼ってある。
今回は手抜きの所沢さんも原画に参加しているし、原画レベルに達していない新人も3人で、45cut混じっている。
低値バブルの中でアニメの作品本数が増え、アニメ専門学校卒でもBランクレベルを使わざるを得ないからだ。
今の作画監督は大変である。
私、芦田の時代は60点レベルの原画があれば、80点まで引き上げ、作品全体をできるだけ100点に近づけることが仕事だった。
確かに原画マンに免許はいらない。
しかし、30点、40点レベルの人が原画をやらせてもらう事などあり得なかった。
今の作監は本当に気の毒である。
手抜き原画に追加原画を描きくわえ、30点レベルを60点に引き上げ、キャラ修正を入れたところでタイムアップだ。
これは、レイアウトとラフ原画に対する作業である。このスケジュールは10日程しかない。今回のカット数は330cut。気になるカットはたくさんあった。しかしオンエアに間に合わなくなる。
別の会社の作監も引き受けている。そちらもUPが迫っている。
こうして、所沢さん、田無さん、清瀬さんみんなが自分の仕事に不満を持ち、お互いに不信を持ちながらオンエアされることになるのだ。
作画監督やキャラクターデザイナーは、若いアニメーターの憧れである。
作監・清瀬さんの収入もきっと華々しいだろう。
TVシリーズは1話分手取りで平均22万〜25万であろうか。
1話に付き作監は2度ある。
一度目はレイアウトとラフ原画チェック。
300cut程を10日のスケジュール。
1日30cutを10日はキツイ。
こぼれて2週間はかかるだろう。
二度目は原画が上がってから300cutを10日。
これはレイアウト時、修正を入れてあるので10日〜12日で上がるかもしれない。
私の時代の作監は、1本2週間強あった様に思う。
清瀬さんの作監料は手取りで22〜25万くらい。上をとって250000くらいとしておこう。
空き(アキ)が出るため、清瀬さんも他社の仕事も受けている。
若手アニメーターの憧れ、清瀬さんの1日の収入は10400円程。
28日働いて月収291200円。
時給換算800円。
年齢は37歳くらいであろうか。
これを読んだ若手の君は、この数字をどう思っただろうか。「作監っていいなー」と思っただろうか。
もちろん、もっと稼いでいる「特別な人」は点在しているだろう。
これは告白文であると、この連載の冒頭に書いた。
業界の重鎮になってゆくと、これらの事は見えなくなって来る。
総論でしか話せなくなってくる。
総論は宗教の様なモノだ。
その場の説得力はある。総論は麻薬である。醒めると現実がある。
私は重鎮にはほど遠く、軽薄なお調子者である。
私も周りに総論を述べて、自分で気持ち良くなってしまう事も多い。
人は今日に明日に生きている。
10年後なんてファンタジーと同じだ。
アニメーターの現実、お金の事、この様な事が現場から表に出るのは初めてだろう。
私はそれをサボッて来た。
私達ベテランの責任は重い。
だから告白文なのだ。
「芦田はアニメ業界の恥を世間に晒す裏切者だ」
「これでは、ますます優秀な人材が来なくなってしまう」
安心して良い。世間は知っている。
若者は「知っていて」業界の扉を叩いているのだ。
ナメてはいけない。
その時点で覚悟があるという事だ。
日本のアニメーションは滅びてゆくと言う人は多い。終末論である。
終末論は人を引きつける。
当事者である我々でさえ、その話で暗く盛り上がる。
日本のアニメーションに関わっている人は、直接、間接、家族も含め、30000〜60000人くらいであろうか。
多くの人が生活を失うのだ。
アニメーションに関わっているサラリーマンの多くも、配転ではなくリストラの対象になるだろう。
冗談ではない。アニメーションはもっともっと良くなっていかなければならない。
攻撃に勝る防御はないのだ。
アニメマニア、おたく君にはコマッた人もいるが、アニメーションを愛し、将来を心配してくれている人の方がずっとずっと多い。
「アニメーター募金」なんてスゴイことを言い出す人もいたのだ。
アニメファンの悪口を言う業界人はどうにかしている。