|
きょうのコラム「時鐘」 2009年9月5日
戦い済んでまた戦い。今度は五輪招致レースの行方が気になる。リオデジャネイロがリード、東京とシカゴが追うというIOCの評価報告書が出た
45年前の東京五輪で、ドイツ語の通訳にかり出された大学教授に話を聞いたことがある。担当は「東洋の魔女」が活躍したバレーボール競技。まだ東西に分かれていたドイツチームはさほど強くなく、試合は早々に終わった お役御免のはずが、その後の方が大変だった。緊張から解放された一行の「日本の休日」に付き合わされた。行儀の悪い選手と衝突もしたが、チームは東洋の島国が好きになって帰国した。それが縁での付き合いも生まれたという メダル争いによる国威発揚だけでなく、東京五輪は親日家を生むという財産も残した。日本びいきを増やす大切さは、今も切実である。往時の東京五輪実現には海外の日本人の力が大きかったと、その教授に教わった。米国などで成功した実業家が手弁当で南米やアフリカに足を運び、「清き1票」を集めたという 招致レースは、あと1カ月。「どぶ板選挙」が勝ちを呼ぶことを、先の戦いは教えてくれた。 |