メルセデス・ベンツ日本は3日、輸入車初のハイブリッド車となる「Sクラス・ハイブリッド・ロング」(欧州名:S400ハイブリッド)を発表し、同日発売した。
ハイブリッドモデルは、S350の3.5L、V6エンジンを改良し、エンジンと変速機との間に薄型の電気モーターを配置。高価だが小型で高性能のリチウムイオン電池を搭載する。ハイブリッド化による重量増を75kgにおさえ、S350と同じ室内空間・トランク容量を確保した。
リチウムイオン電池の採用は、量産ハイブリッド車では世界初。コンパクトなので、ガソリン車のバッテリーと同じエンジンルーム内のスペースに収納でき、このレイアウトが居住空間の広さに大きく寄与したという。
燃費はリッター11.2キロと、S350より約30%向上した。Eクラスを上回るのはもちろん、1.8LのCクラス並みの水準を達成している。
Sクラスならではの安全性や快適性はそのまま。車線逸脱を感知してハンドルを振動させる警告装置や、先行車や対向車を感知してヘッドライトのハイビーム/ロービームを切り替える装置なども標準装備されている。「これはまぎれもなくSクラスだ。従来の価値を少しも損なわず、高い環境性能を実現した」(メルセデス・ベンツ日本のテンペル社長)という。
価格は1450万円。正規輸入車では初のエコカー減税対象車で、自動車取得税・重量税70万円相当が全額免除される。
気になる点もある。コンパクト化に努めたとはいえ2トンを超えてしまった車重。S350より400万円も高い価格。左ハンドルしかない設定も、日本人ユーザーには気がかりな点だろう。ライバルとも目されるレクサスLS600hLは、5LのV8エンジンを積みながらわずかに燃費が良い。
もっとも、細かな燃費の数値を気にするユーザーが購入するようなクルマではないのも事実。あらゆる意味で最高峰をめざしてきたメルセデスが、環境性能でも頂点をめざすという、いわば意志表示だからこそ、Sクラスにハイブリッドが設定されたのだろう。 (アサヒ・コム編集部・藤坂樹理、矢代安史=写真)
【Sクラス・ハイブリッド・ロング】 全長×全幅×全高:5,230×1,870×1,485mm、車両重量:2,070kg、ボディ形式:4ドアセダン、ハンドル:左、駆動方式:FR、定員:5名、エンジン形式:V型6気筒DOHC/3,497cc、エンジン最高出力:279ps/6,000回転、エンジン最大トルク:350Nm(35.7kgm)/3,000-5,500回転、モーター出力:20ps、モータートルク:160Nm(16.3kgm)、燃費:11.2km/L(10・15モード)/12.7km/L(NEDC総合モード)、価格:1450万円(消費税込み・登録諸費用別、自動車取得税と重量税は全額免除)