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2008年07月14日

要人の携帯電話セキュリティの現状/0115号

●なぜ、日本の要人は一般の携帯電話を使うのか

 さきの通常国会開催中のときの話です。そのとき国会では年金問題の総括質
疑が行われていたのです。民主党の議員が質問に立ち、福田首相と升添厚労相
とのコミュニケーションについて質問したときのことです。
 「私と升添さんとはいつも緊密に連絡を取り合っていますよ」と福田首相は
答えながら、スーツから携帯電話を取り出し、今ここでかけてみましょうか」
といったのです。そのときNHKテレビは国会中継をしていたので、非常に多
くの人がそれを目撃したことになります。
 もうひとつこんな話があります。2008年3月5日早朝、首相官邸小ホー
ルで開かれた「地球温暖化問題に関する懇談会」の初会合の席上で、それは起
こったのです。
 そのとき小ホールには、福田首相をはじめ町村官房長官、座長の前財界総理
・奥田碩トヨタ自動車相談役らのメンバーが既に揃っており、会議は今まさに
始まろうとしてしたのです。
 そのとき、「ちょっと失礼」といって、福田首相がスーツから携帯電話を取
り出し、「もしもし、福田です」と話しながら、席を外して部屋の外に出て、
誰かとなにやら話し込んだのです。
 普通のビジネスパーソンであればそういうことはよくあることですが、一国
の首相が人前で携帯電話を使うことは明らかに異様です。洞爺湖サミットは終
わったばかりですが、サミットに出席するような国のトップが携帯電話を使っ
ているのあなたは見たことがあるでしょうか。米国のブッシュ大統領が携帯電
話を使っている映像を見たことがあるでしょうか。
 おそらくないと思います。なぜなら、そういうことを警備の人が絶対にさせ
ないからでいす。どうしてでしょうか。危険だからです。ちなみに、米国では
大統領、副大統領、全閣僚、議会幹部、軍幹部は携帯電話は使っていますが、
すべて盗聴防止特殊モジュール搭載の携帯電話であり、その携帯電話でも機密
情報は話さないということが徹底されているからです。まして人前で携帯電話
を使うことなど論外です。
 しかるに日本の要人の携帯電話はどうなっているでしょうか。
 現在、福田首相の携帯電話はNTTドコモの市販の携帯電話ですし、町村官
房長官、官房副長官たちも一般の携帯電話なのです。盗聴防止特殊モジュール
搭載の携帯電話を持っているのは高村外相だけであり、それも外国首脳との電
話や機密情報のやり取りのさいしか使っていないのです。外相も一般の携帯電
話を持っており、普段はそれを使っているということです。
 昨今は「セキュリティ」ということがうるさくいわれますが、会話などが盗
聴されると国益にかかわる国の要人たちの一般携帯電話使用――なぜ、このよ
うな事態が起こっているのでしょうか。日本の国のセキュリティはどうなって
いるのでしょうか。

●ケータイへの依存度が高い福田政権

 『週刊ポスト』/7月18号に、次のような記事が出ています。宰相の携帯
電話使用は安倍政権のときからはじまったといわれています。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 かつて安倍政権の政府高官らは通常電話でホワイトハウスに電話していた。
 それに対して、ライス国務長官が不快感を示し、日米首脳の盗聴防止付きの
 直通専用回線ができたという経緯がある。複数の情報部門の関係者によると
 政治家が盗聴の対象になっているのは周知の事実で、それは当然に役人たち
 も知っていることだという。ところが、政治家が無警戒なのをいいことに、
 その状況を情報収集に利用しているというのだ。
             ――『週刊ポスト』/2008年7月18号より
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 小泉政権の5年半では、小泉元首相自身が携帯電話をプライベートでも持た
なかったので、要人の携帯電話使用は話題にもならなかったのですが、安倍政
権になると事情は一変したのです。
 安倍前首相は、主として携帯電話で連絡を取っており、とくに親しい塩崎官
房長官(当時)などとは携帯電話だけでなく、携帯メールでも頻繁にやり取り
していたので、それが他の閣僚たちへと広がっていったのです。
 それが福田政権になると官邸の携帯電話使用は当たり前になったのです。福
田首相はあらゆる機会に携帯電話片手にしゃべっており、もはや携帯電話は福
田首相の唯一最大のブレーンと化しているようです。町村官房長官などは「日
に2?3回は総理とケータイで話している」と公言しているほどです。
 あまり知られていないことですが、福田首相はかなり前から携帯電話を使っ
ているのです。福田首相が小泉政権の官房長官のときにケータイへの迷惑メー
ルの件でキャリアの社長を官邸に呼び、事情を聞いているのです。そのとき、
福田官房長官(当時)は「ケータイ・メールは受信者にも料金がかかると聞い
ているが、そのために迷惑メール対策が遅れているのではないか」といったと
いうのです。キャリアの社長たちは福田氏が携帯電話に並々ならぬ関心を持っ
ていることに驚いたというのです。
 どうして、要人は携帯電話の利用に慎重であるべきでしょうか。これについ
ては、次回軍事専門家の江端謙介氏の意見を中心に解説します。    以上

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