【2009年5月14日 日刊工業新聞】
大阪商工会議所が主催する第1回「なにわなんでも大阪検定」実施が、6月21日と迫ってきた。この検定では、大阪の食から歴史、経済、スポーツ、サブカルチャーなどを濃縮した内容を出題する。ご当地検定は全国各地が取り組んでおり「新鮮味に欠ける」との指摘もあるが、大阪があえて乗り出す理由は何か。大阪・梅田北ヤード再開発計画など大阪の街づくりに携わっている橋爪紳也大阪府立大特別教授に大阪検定の意義を聞いた。(大阪・石宮由紀子)
―「大阪検定」を始めようとした経緯を教えてください。
「シビックプライド(市民としての誇り)を取り戻そうという運動を広げるため。20年ほど大阪の研究を続けているが、大阪の人が自分たちの街を勉強しようとする機運がないため、大阪を研究した本は売れないことがわかった。これからの街づくりや新たな産業を興していくうえでも、自分たちの足元をきっちり見直す必要がある」
―検定によって大阪を再生したいということですか。
「都市再生というと『ビルが建つ、百貨店ができる、鉄道を敷く』といったイメージがあるが、それは違う。自分たちの街を誇りに思い、市民の気持ちが我が街に向かないと本当の都市再生にならない。大阪の人間に焦点を当てると、自虐的なところがある。二言目には『大阪には見るところがない。京都や奈良に行け』と言う」
―大阪人はわが街に対して無関心なのでしょうか。
「観光客にも、『道頓堀とミナミの盛り場とテーマパークの大阪』という期待がある。伝統的なものがたくさんあるはずなのに、これまでそれを大事にしてこなかった。それらを見直さなければ大阪は元気にならないのではないか。大阪が良くなっていくためにも自分たちの良さを自分の言葉で話せることが必要」
―他のご当地検定との差別化はどのように図るのですか。
「全国各地でかなりの数のご当地検定がある。成功事例もあるし、うまくいかず休止したところもある。ほかのものは過去を振り返るスタイルをとっている。大阪検定では過去を再評価して次の世代へ引き継ぐことに重点を置いた。未来志向のご当地検定にしたいと考えている。教科書の装丁にも工夫し、名前の記入欄を設けた。古本屋に売られへんでしょ」
【略歴】はしづめ・しんや 84年(昭59)京大工卒、86年京大院工学研究科修士修了(建築学専攻)、89年阪大院工学研究科博士課程修了(環境工学専攻)。99年大阪市立大助教授などを経て08年大阪府立大特別教授。大阪府特別顧問・政策アドバイザー(水都・都市景観分野)。大阪府出身、48歳。
大阪商工会議所が主催する第1回「なにわなんでも大阪検定」実施が、6月21日と迫ってきた。この検定では、大阪の食から歴史、経済、スポーツ、サブカルチャーなどを濃縮した内容を出題する。ご当地検定は全国各地が取り組んでおり「新鮮味に欠ける」との指摘もあるが、大阪があえて乗り出す理由は何か。大阪・梅田北ヤード再開発計画など大阪の街づくりに携わっている橋爪紳也大阪府立大特別教授に大阪検定の意義を聞いた。(大阪・石宮由紀子)
―「大阪検定」を始めようとした経緯を教えてください。
「シビックプライド(市民としての誇り)を取り戻そうという運動を広げるため。20年ほど大阪の研究を続けているが、大阪の人が自分たちの街を勉強しようとする機運がないため、大阪を研究した本は売れないことがわかった。これからの街づくりや新たな産業を興していくうえでも、自分たちの足元をきっちり見直す必要がある」
―検定によって大阪を再生したいということですか。
「都市再生というと『ビルが建つ、百貨店ができる、鉄道を敷く』といったイメージがあるが、それは違う。自分たちの街を誇りに思い、市民の気持ちが我が街に向かないと本当の都市再生にならない。大阪の人間に焦点を当てると、自虐的なところがある。二言目には『大阪には見るところがない。京都や奈良に行け』と言う」
―大阪人はわが街に対して無関心なのでしょうか。
「観光客にも、『道頓堀とミナミの盛り場とテーマパークの大阪』という期待がある。伝統的なものがたくさんあるはずなのに、これまでそれを大事にしてこなかった。それらを見直さなければ大阪は元気にならないのではないか。大阪が良くなっていくためにも自分たちの良さを自分の言葉で話せることが必要」
―他のご当地検定との差別化はどのように図るのですか。
「全国各地でかなりの数のご当地検定がある。成功事例もあるし、うまくいかず休止したところもある。ほかのものは過去を振り返るスタイルをとっている。大阪検定では過去を再評価して次の世代へ引き継ぐことに重点を置いた。未来志向のご当地検定にしたいと考えている。教科書の装丁にも工夫し、名前の記入欄を設けた。古本屋に売られへんでしょ」
【略歴】はしづめ・しんや 84年(昭59)京大工卒、86年京大院工学研究科修士修了(建築学専攻)、89年阪大院工学研究科博士課程修了(環境工学専攻)。99年大阪市立大助教授などを経て08年大阪府立大特別教授。大阪府特別顧問・政策アドバイザー(水都・都市景観分野)。大阪府出身、48歳。