三菱自動車は5日、1回の充電で160キロ走れる電気自動車(EV)「i-MiEV(アイミーブ)」を発表した。大人4人乗りで長距離走行も可能な実用性の高いEVの量産は世界で初めて。09年度は2000台を生産、7月下旬から主に法人向けに販売する。発表会で三菱自の益子修社長は「EVは大気汚染や脱石油などに応える究極のエコカー。アイミーブがEV普及を加速させる役割を担いたい」と述べた。
アイミーブは軽自動車「i(アイ)」をベースに大容量のリチウムイオン電池を搭載。電圧100Vの家庭用コンセントなら14時間でフル充電が可能。ガソリンスタンドなどに設置される専用の急速充電器なら約30分で80%まで補給できる。最高速度は130キロで高速道路も走れる。
トヨタ自動車の「プリウス」などハイブリッド車(HV)がエンジンと電気モーターを組み合わせて走るのに対し、EVの動力は電気だけ。走行中、二酸化炭素(CO2)など排ガスを一切出さない。燃費はガソリンに比べて3分の1程度で、割安な深夜電力を使って充電すれば、1キロ当たり1円で走れる計算だ。価格は438万円(税抜き)だが、国の購入補助金を加味すると約320万円となる。HVに続く、本格的なEVの登場はエコカー市場を一段と活性化しそうだ。【大久保渉】
2009年6月5日