太陽のエネルギー源

この太陽の放出するエネルギーが何によりもたらされているか、考えてみる。 上でみたように、現在、太陽は $L_{\cdot}=4.0\times 10^{26}$[W]の割合で エネルギーを放出している。このエネルギー放出率(光度)があまり変化して いなかったとすると、太陽が光として「放出可能な全エネルギー」が明らかになれば、 どのくらい太陽が輝き続けられるかの時間、つまり、太陽の寿命を以下の式で 換算することができる。


$\displaystyle \mbox{寿命}=\frac{\mbox{放出可能な全エネルギー}}{\mbox{太陽の光度}}$     (7)

放出可能な全エネルギーは、石炭のような化石燃料の場合、 $6.0 \times 10^{37} \mbox{[J]}$である。 したがって、石炭が太陽のエネルギー源であるとすると、輝いている寿命は、

\begin{displaymath}
\frac{6.0\times 10^{37}}{4.0\times 10^{26} \times 3.2 \times 10^7} =
4.6 \times 10^3 \mbox{[年]}
\end{displaymath}

である。ここで、1年が $ 3.2 \times 10^7 $秒であることを用いている。 地球の歴史はこれより長いことは、知られているし、人間の歴史程度も持たない ので、化石燃料がエネルギー源ではあり得ない。

太陽が大部分は水素=陽子と電子でできていると考え、核融合により、 それがすべてヘリウムに変わった場合に、解放されるエネルギーを考える。
この水素がヘリウムに変わる時に発生するエネルギーを原子核エネルギー と呼ぶことにする。

4個の水素が核融合反応を起こすことによって1個のヘリウムが作られるが、こ のとき質量欠損が生じる。この場合、水素の0.8%が質量欠損となる。 この質量はエネルギーと等価であり、 $E=mc^2 (c; \mbox{光速} 3.0 \times 10^{18}\mbox{m/s})$により、 エネルギーに換算できる。

太陽の質量は $2\times10^{30}[\mbox{kg}]$

\begin{eqnarray*}
E&=&2\times10^{30}\times0.008\times(3\times10^{18})^2\\
&=&1.4\times10^{45}\mbox{[J]}
\end{eqnarray*}


よって、太陽の核融合エネルギーは $1.4\times10^{45}$ [J]である。
このエネルギーで太陽が輝いていられる時間を求めると、 太陽は1秒間に $4.0 \times 10^{26}$(J)のエネルギーを放出しているから、

\begin{displaymath}
\frac{1.4\times10^{45}}{4.0\times10^{26}}=3.5\times10^{18}\end{displaymath}

[秒]となる。

年に換算すると、 $1.1\times10^{11}$[年]になる。核エネルギーであれば十分太陽 のエネルギー源となることができる。

太陽のガスは重量濃度で約75%が水素で、残りの大部分はヘリウムです。太陽で は核融合反応が起こっている中心領域の質量が全質量の1割程度です。太陽の寿 命は(中心で水素が消費し尽くされるまでの時間は) $1.1\times10^{11}$[年]の10分の 1の110億年程度になります。

HANAMI Hitoshi / 平成17年12月13日