2009年01月02日 [14:08]   全国高校サッカー選手権大会 | スポーツ | 第87回高校選手権 

第87回選手権大会 市立浦和 vs 滝川第二

高校サッカー3日目、2回戦。
その最初は、2回戦から登場の両校。
浦和市が合併によってさいたま市になり、校名が変わったが埼玉の名門、市立浦和。
対するは、一昨年まで名将黒田監督の下6度の全国連続出場をしており、新体制で初出場のこちらも名門、滝川第二。
名門の対決を制するのは?

第87回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 埼玉スタジアム2002
市立浦和 0(4PK5)0 滝川第二
ほぼホームになる埼玉県代表市立浦和のスタメンは、1 町田紘、18 相馬貴彦、2 後藤拓也、3 大友晃平、14 福元聡一郎、6 徳島翔、15 長谷川新、8 松橋慶、9 平塚圭亮、10 桑原岳人、13 川野拓紀の4-1-2-3。攻撃的なサッカーで攻め勝つ、その中心は、中盤の底でゲームをコントロールするキャプテンの徳島の存在になる。
対する兵庫県代表滝川第二のスタメンは、1 浅野伸吾、4 岡本大輝、3 中西隆裕、2 小石哲也、6 中村勇紀、9 井上太志、7 中西規真、18 矢野亮、13 吉澤春風、11 河本駿、10 御手洗海斗の4-4-2。CHのレギュラーだった8番栗本悠人が負傷で大会に出れそうに無いが、両SHの2人がスピードのあるドリブルで切り崩すサッカー。

激しい攻守の入れ替えの試合
立ち上がり最初にチャンスを掴んだのは市立浦和、8分、6番徳島翔がドリブルで持ち上がると、そこから絶妙なパスを10番桑原岳人に通すと、うまくトラップでコントロールして、ノーマークでシュート、しかし、これがミートせず、GK正面でがっちりキャッチ。
しかし、滝川第二も14分、右サイドで9番井上太志が3人のDFをひきつけながら、フワッとしたボールをゴール前に落とすと10番御手洗海斗がボールをヘディングで流して、最後は11番河本駿のシュートは、GK町田紘が好セーブ。
その後も波状攻撃を加えると、パス回しから9番井上太志のクロスにヘディングで合わせた7番中西規真のシュートは、バーに当ってノーゴール。
更に、24分には4番岡本大輝からのボールを10番御手洗海斗が落とした所で18番矢野亮の強烈なシュートも市立浦和GK町田紘が体で防ぐ。
滝川第二が攻める時間が過ぎると、徐々に市立浦和が盛り返して、36分には、左サイドからゴール前で市立浦和がチャンスを作るが、シュートは、滝川第二が体を張ってブロック。

後半開始早々、市立浦和の6番徳島翔がロングシュートを放つと、滝川第二GK浅野伸吾が戻りながら、指先で枠の上に押し出す好セーブ。
先に動いたのは滝川第二、53分、10番御手洗海斗に代えて20番大村亮平を投入。
お互いに攻めるが点が奪えそうに無い膠着状態の中で、市立浦和は67分、13番川野拓紀に代えて11番森寛彰を投入。
ほぼ同時に、滝川第二も2枚目の交代カードを切る、11番河本駿に代えて、16番時本寛史が投入される。
市立浦和が攻勢をしかけるようになってきたところで、76分、9番平塚圭亮に代えて、16番酒井翼を投入。
試合はそのままPK戦に入ると読んだ滝川第二は、ロスタイム2分、GKの1番浅野伸吾に代えて、21番宮本豊太に交代。
試合は、そのまま終了、攻守の激しい試合は、結果スコアレスドローでPK戦へ。

6 徳島翔(市立浦和) ○ 落ち着いて左上へと決める
3 中西隆裕(滝川第二) ○ 落ち着いて左下へと決める
14 福元聡一郎(市立浦和) ○ GKが手に当てるが強烈なシュートはそのままゴールへ
9 井上太志(滝川第二) ○ フェイントを入れて左上へと決める
15 長谷川新(市立浦和) ○ 強烈なシュートが左上へと決める
2 小石哲也(滝川第二) ○ 右隅へと突き刺す
16 酒井翼(市立浦和) × 右を狙ったシュートはGK宮本豊太が完璧にブロック
4 岡本大輝(滝川第二) ○ 右隅に決める
11 森寛彰(市立浦和) ○ GKが触るもののそのまま左隅に決まる
7 中西規真(滝川第二) ○ GKの反対をついたコロコロPKを左下隅に決める

PK戦4-5で滝川第二が勝利。

攻撃的なサッカーに対する守備の粘り
お互いに攻撃的なサッカーを持ち味にしており、立ち上がりから攻守の切り替えの早い好ゲームになった。
そんな中で、両チームの守備陣が、身体を張り、GKの好セーブもあって、得点が奪えないまま前半が終了した。
その後、後半どちらかが得点を奪うかと思われたが、しかし、守備が安定し、どちらもほとんどバイタルエリアに入る事が出来ない、攻めながらも決定的なシーンをほとんど作る事が出来なくなった。
攻撃面がクローズアップされる両チームだったのですが、ギリギリの所で粘る守備陣の粘りがこの試合の好ゲームを生んだ要因だったのではないだろうか。

持ち味を出した好ゲーム
そして、好ゲームの要因のもう一つは、やはり両チームとも自分たちの持ち味を出し切ったサッカーをし続けた点だろう。
市立浦和は、前評判どおりのキックの精度、プレーの大きさでチームを引っ張る6番徳島翔のプレーで何度もチャンスを作り出し、また強烈なミドルやロングシュートで滝川第二ゴールを脅かした。
それに対して、滝川第二も中盤でのパス回しと言う点では、なかなか上手くいかなかったが、しかし、持ち味である両SHの9番井上太志、13番吉澤春風のドリブル突破から、18番矢野亮のテクニカルなプレー、7番中西規真の思い切ったプレーなど中盤のメンバーの出来が良く、前半は、何度も市立浦和ゴールに迫った。
80分間、まさにお互い自分たちの持ち味を出し、自分たちのストロングポイントで相手を押し込むというサッカーをし続けた事が、観ていて楽しいサッカーになったと思う。

勝負を分けた栫監督の采配
80分間の戦いは、ほぼ互角だった。
ただ、徐々にPK戦が見えてきた所で、本来埼玉県予選でもPK戦で制した試合が2試合あった市立浦和の方が自信があったのだと思う。
だからこそ池田監督は2枚交代した後、最後の交代枠を使ってでも勝ちに行くような真似はしなかった。
それに対して、滝川第二の方が、おそらくPK戦になると不利になるのではないかと思われた。
早い段階から2トップを交代して勝ちを得ようとした滝川第二だったが、そこで勝てなかった。
そうなると、栫監督がうった手は、GKを代える事だった。
PK戦に自信をもっている21番の宮本豊太を投入すると、PK戦で、5本中4本読みが当り、更に3本手に当て、1本止めた。
まさに、栫監督の采配が当ったといえる。
決して、池田監督の采配が間違っていたわけではない。それでも十分勝てるとの判断だろうし、実際に勝ってもおかしくなかった。
ただ、そこで、思い切った手を打てた栫監督が一歩上回った、両チームの差をもし見出すのであれば、まさにその1点だけじゃないだろうか?

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    部下D

    Author:部下D
    「闇を○くもの」「狂える○竜」などの二つ名をもつも、著作け…大人の事情で名前をぼかしている小心者の中間管理職員。
    一応魔王らしく、世の中を斜めに、皮肉に批評します。