土木・建設
【発明の名称】防犯用つっかい棒
【特許権者】
【識別番号】504332942
【氏名又は名称】阿部 直彦
【住所又は居所】神奈川県横浜市港南区上永谷2丁目19−6
【代理人】
【弁理士】
【識別番号】100072246
【氏名又は名称】新井 一郎
【発明者】
【氏名】阿部 直彦
【住所又は居所】神奈川県横浜市港南区上永谷2丁目19−6
【要約】
【目的】
つっかい棒を斜設すると、ガラスを破った侵入盗に容易に外されてしまう。開口部の下枠の溝につっかい棒を入れると取り外しが困難であり、ゆるく入れるしかない。
【構成】
内障子6に戸当り部材22を取り付ける。下枠3にブラケット29を固定する。つっかい棒21の両端を戸当り部材22とブラケット29に嵌入する。つっかい棒21は中間がコイルばねで結合されている。コイルばねの両端は円筒管25,28に固定されている。円筒管28に一端32aが固定されている操作部材の他端32bを持ち上げるとコイルばねは湾曲してつっかい棒21の両端は戸当り部材22、ブラケット29から外れてつっかい棒を取り外せる。装着時はつっかい棒を曲げて取り付ける。コイルばねは剛なばねである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引違い障子、片引き障子等の召合せ框を有するサッシにおける防犯用つっかい棒において、
内部側の障子の召合せ框に設けた戸当り部材に嵌合して衝接可能な対戸当り側嵌合衝接部を一端に有し、他端にコイルばねの一端側を挿入固定される筒部を有する第1のばね支持部材と、
コイルばねと、
一端にコイルばねの他端側を挿入される筒部を有し、他端に外部側の障子に固定されたブラケットに嵌合して衝接可能な反戸当り側嵌合衝接部を有する第2のばね支持部材と、
第1又は第2のばね支持部材に一端が固定されて他端側へ向ってほぼコイルばねの長手方向に沿って配され他端が把手となった操作部材と、
を有し、
操作部材を用いてコイルばねを湾曲させて着脱可能としたことを特徴とする防犯用つっかい棒である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、引違い障子(戸を含む)又は片引き障子(戸を含む)を有する開口部からの侵入盗を防止するための防犯用つっかい棒に関する。
【背景技術】
従来、開口部の引違い障子、片引き障子には錠前装置を設けている。この錠前装置は、召合せ框の位置において召合せ框同士を固定する。又は、戸当り框と開口枠との間に設けているのが一般的である。処が近時侵入盗の著しい増加を動機として更に第2の錠前装置を設けることが行われている。この第2の錠前装置は前述の召合せ框同士の間に設けた錠前装置が侵入盗により、解錠又は破壊されても障子を開けられないようにするのが目的である。そこで第2の錠前装置は格別に防犯目的を有し、防犯用錠前装置と称する。
この第2の錠前装置として内部側の障子の召合せ框と外部側の障子の間につっかい棒を設けることが行われている。例えば、つっかい棒が取り外されると警報がでる音響発生装置をつっかい棒に装着したものが知られている。
【特許文献1】
特許公開2001−93053
【特許文献2】
特開平10−280778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
つっかい棒は引違い障子、片引き障子の可動の内部側の障子(以下内障子という)の召合せ框と外部側の障子の竪枠との間に設ける。つっかい棒を設ける位置は引違い障子、片引き障子の外部側の障子(以下外障子という)の下框に沿って開口枠の下枠上に置かれる。防犯上からは斜設しないで、外障子の下框と開口枠の下枠の内部側の窓台との間において下枠上に設けるのがよい。何故なれば、通常、内外障子を施錠するクレセント付近のガラスが侵入盗によって割られるので、つっかい棒を斜設するとつっかい棒に手を掛けて容易に取り外されてしまうからである。
処が窓台と外障子の下框間の溝部につっかい棒を落とし込むと、取り外しが困難である。特に、つっかい棒を水平近くに斜設して押し込むと内障子の召合せ框と外部側の障子間には大きな水平力が働くので防犯上は都合がよいが取り外しが困難となる。そこで、つっかい棒の場合、窓台と外障子間に収める場合は両端は召合せ框及び外部側の障子には多少のがたを設ける。すると盗犯はこれを察知して取り外してしまう可能性がある。
この発明は内障子の召合せ框を強力に押圧可能で且つ、着脱が容易であるが、取り外し方法が侵入者には分り難い防犯用つっかい棒を提供することを目的とする。
この発明は上記目的に加えて内障子の部分開を可能とし、且つ部分開の状態で戸締りの機能を有する防犯用つっかい棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本出願に係る第1の発明は引違い障子、片引き障子等の召合せ框を有するサッシにおける防犯用つっかい棒において、
内部側の障子の召合せ框に設けた戸当り部材に嵌合して衝接可能な対戸当り側嵌合衝接部を一端に有し、他端にコイルばねの一端側を挿入固定される筒部を有する第1のばね支持部材と、
コイルばねと、
一端にコイルばねの他端側を挿入される筒部を有し、他端に外部側の障子に固定されたブラケットに嵌合して衝接可能な反戸当り側嵌合衝接部を有する第2のばね支持部材と、
第1又は第2のばね支持部材に一端が固定されて他端側へ向ってほぼコイルばねの長手方向に沿って配され他端が把手となった操作部材と、
を有し、
操作部材を用いてコイルばねを湾曲させて着脱可能としたことを特徴とする防犯用つっかい棒である。
【発明の効果】
この発明によれば、コイルばねの一端が内部側の障子の召合せ框に嵌合衝接可能な第1ばね支持部材に固定され、コイルばねの他端がブラケットに係合する端部を有する第2のばね支持部材に固定されているため、コイルばねをその長手方向に対して湾曲してつっかい棒の両端間の長さを小さくして内部側の障子の召合せ框とブラケットとの間に挿入して真直に復元でき召合せ框を容易に加圧できる。そして、第1又は第2ばね支持部材に一端が固定されてコイルばねの長手方向に沿って他端が上側において把手となった操作部材があるため、外部側の障子の下框と下枠の内部側の窓台間即ち、下枠側の溝部の空間である装着部に落とし込まれた状態で召合せ框とブラケット間に両端が戸当り部材、及び、ブラケットに嵌合した状態でつっぱっているつっかい棒を把手で持ち上げてコイルばねを湾曲させてつっかい棒の全長を短くして容易に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
図1から図8を参照して、この発明の防犯用つっかい棒は次の構成を有する。
外部側の外障子7が開口枠1に移動可能な引違い障子、片引き障子等の召合せ框12,18を有するサッシにおける防犯用つっかい棒において、
内部側の内障子6の召合せ框12に設けた戸当り部材22に嵌合して衝接可能な対戸当り側嵌合衝接部23aを一端に有し、他端にコイルばね24の一端側24aを挿入固定される円筒部25aを有する第1のばね支持部材26と、コイルばね24と、一端にコイルばね24の他端側24bを挿入される円筒部28aを有し、他端に外部側の外障子7に固定されたブラケット29に嵌合して衝接可能な反戸当り側嵌合衝接部31aを有する第2のばね支持部材30と、第1又は第2のばね支持部材26,30に一端32aが固定されて他端32b側へ向ってほぼコイルばね24の長手方向に沿って配され他端32bが把手となった操作部材32と、を有する。
そして、外部側の外障子7の内部側における開口枠1の下枠3側の壁面方向の溝3gに操作部材32を用いてコイルばね24を湾曲させて対戸当り側嵌合衝接部23aを戸当り部材22に嵌合して、及び反戸当り側嵌合衝接部31aをブラケット29に嵌合して着脱可能とした。
以下、図面に従ってこの発明の実施例について説明する。
(引違い窓)
この発明は引違い障子又は片引き障子を有する窓、テラス戸等に適用されるものである。先ず、この発明が適用される引違い窓の例について説明する。
図1は内部側より見る引違い窓の正面図である。図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。図1に示すように開口枠1は上枠2、下枠3、竪枠4,5により四方組され、開口枠1には内障子6、外障子7が引違いに嵌め込まれている。なお、片引き窓の場合は外障子7は嵌め殺しとなる。
内障子6は上框8、下框9、竪框11、召合せ框12が四方組され、障子の上下方向の中間の横方向の框である中框10が召合せ框12と竪框11間にわたされている。図示されないが各框の内周溝に嵌入するグレージングチャンネルビードによりガラスが保持されており、上部は図示されない上框8に固定したガイド片が図3に示す上枠2の突条のガイドレール2aに嵌入して案内され、下部は下框9に固定した戸車が下枠3のガイドレール3bに係合して開口枠1内を移動可能となっている。
外障子7は上框15、下框16、竪框17、召合せ框18が四方組され障子の上下方向の中間の横方向の框である中框20が召合せ框18と竪框17間にわたされている。図示されないが各框の内周溝にはグレージングチャンネルビードによりガラスが保持されており、上部は図示されない上框15に固定されたガイド片が上枠2の突条のガイドレール2cに嵌入して案内され、下部は下框16に固定した戸車が下枠3のガイドレール3cに係合して開口枠1内を移動可能となっている。
内障子6の召合せ框12に設けたクレセント19(図1参照、図3では図略)は外障子7の召合せ框18に固定した図示されない受金具と係合して内障子6、外障子7の引寄せ、引分けを行う。
図2に示すように内障子6、外障子7の召合せ框12,18間は内障子6、外障子7に夫々煙返し12a,18aを備えている。
図3を参照して下枠3の形状についてのべる。下枠3は外側材3d、内側材3eを有する。外側材3dと内側材3e間は開口枠1の周面をなす周面材3fを一体に有する。周面材3f上にはガイドレール3b,3cを一体に有する。ガイドレール3b,3c間はガイドレール3b,3cに沿って条溝3gとなっている。内側材3eは上方へ延出して窓台3hが一体に形成されている。なお、窓台が躯体に固定された木製の場合は窓台は下枠3には設けない。窓台が木製の場合は内側材3eが単に上方へのばされており、窓台の外側面を蔽う形となる。
竪枠4,5の周面材4a,5aの下部に下枠3の周面材3fを突き当てた状態で、周面材4a,5aの小ねじ用の穴を挿通してタッピング穴3iに図示されないタッピングねじをねじ込んである。上枠と竪枠との結合部も、上記下枠と竪枠の結合方法と同様である。
窓台3hと内部側のガイドレール3b間には条溝3jが形成されている。つっかい棒21は窓台3hと外障子7間の空間において下枠3側に装着される場所を選択してよい。即ち、下枠3側がつっかい棒21の装着部Sとなる。
上記はサッシの概要を示すものである。内障子6の召合せ框12には通常戸当り部材をねじ止めするためのめねじが設けてある。このめねじを利用できる場合は、既にある戸当り部材を外す(戸当り部材が後述する本発明に係る実施例となる場合はそのまま用いる)。
(つっかい棒)
次につっかい棒についてのべる。
このつっかい棒21は外障子7が開口枠1に移動可能な引違い障子、片引き障子等の召合せ框を有するサッシにおける防犯用つっかい棒である。本例では引違い障子における場合であり、つっかい棒21は次の構成である。引違い障子についてのべるが片引き障子においても同様である。
図6に示すように内障子6の召合せ框12に設けた戸当り部材22に嵌合して衝接可能な対戸当り側嵌合衝接部23aを一端に有し、他端にコイルばね24の一端側24aを挿入固定される円筒部25aを有する第1のばね支持部材26と、コイルばね24と、一端にコイルばね24の他端側24bを挿入される円筒部28aを有し、他端に外障子7に固定されるブラケット29に嵌合して衝接可能な反戸当り側嵌合衝接部31aを有する第2のばね支持部材30と、第1又は第2のばね支持部材26,30(図示は第2のばね支持部材)に一端32aが固定されて他端32b側へ向ってほぼコイルばね24の長手方向に沿って配され他端32bが把手となった操作部材32と、を有する。
つっかい棒21は外障子7の内部側における開口枠1の下枠3の壁面方向の条溝3gの空間に操作部材32を用いてコイルばね24を湾曲させて(図8参照)着脱可能としてある。内障子6を閉めた状態における戸当り部材22とブラケット29間の条溝3gがつっかい棒21の装着部Sである。条溝3jを装着部としてもよい。また、窓台3hと外障子7間の全幅を装着部とし、レール3b上につっかい棒21を配設してもよい。つまり、窓サッシの主として開口枠の下枠とその回りの形状により装着部を選定するものである。
次に各部について詳細に説明する。
(戸当り部材)
戸当り部材22はゴム、比較的弾性のある合成樹脂エストラマー等が用いられる。戸当り部材22は図6に示すように見付方向(壁面に沿う横方向)を中心線とする載円錐形である。この戸当り部材22の頂部には穴22a、端面22b、穴底22cを有する。戸当り部材22は穴底22cから更に設けたねじ用穴に挿入したタッピングねじ22fを内障子6の召合せ框12の見付方向(壁面に沿う横方向)に面する部材である戸当り側材12bの下端にねじ込んで固定されている。
(対戸当り部材嵌合衝接部)
つっかい棒21の戸当り部材22に対する側には戸当り部材22の穴22aにゆるく嵌合する嵌合部23a1を有するねじ部材23を有する。ねじ部材23は長さ調節棒27の端部にねじ込まれている。長さ調節棒27の端部は対戸当り部材嵌合衝接部23aの衝接部23a2をなしている。嵌合部23a1と衝接部23a2を併せて対戸当り部材嵌合衝接部23aを構成している。上記穴22aと嵌合部23a1は、コイルばね24側を上にしてつっかい棒21を例えば45度程度に大きく傾けても嵌合できるように寸法差を設けてある。嵌合部23a1を先細とし、穴22aの口側を大きく穴底径を小さく円錐形にしてもよい。
(長さ調節棒)
長さ調節棒27は複数の段付で戸当り側より順次縮径する丸棒である。長さ調節棒27は図6において左端におねじ27bを有する。おねじ27bはナット34に対して長手方向の位置を調節可能にねじ込まれている。長さ調節棒27にはスパナを掛け得る二面幅部27cが設けてある。
(第1のばね支持部材)
第1のばね支持部材26はねじ部材23、円筒管25、ナット34、長さ調節棒27を有している。そして、ナット34に対して長さ調節棒27の長手方向位置を調節することにより、第1のばね支持部材26の長さ調節を行い、つっかい棒21の全長を変更するものである。
(円筒管25)
円筒管25の一端には前述したナット34が固定されている。この固定方法はナット34を円筒管25へ圧入する。又は円筒管25にナット34を挿入し、ナット34に向けて円筒管25をかしめる。或は圧入かしめ両者を用いる。ナット34と円筒管25を溶着してもよい。円筒管25の他端の円筒部25aにはコイルばね24の一端が固定されている。この固定方法は円筒部25aの内径よりもコイルばね24の外径を大きく製作しておいて、コイルばね24を捩って縮径した状態で円筒部25aへ挿入して捩りを解放するか、又は、単に圧入するかである。
(コイルばね)
コイルばね24は断面円形の線材の線形と同ピッチ、又はこの線材の直径よりも微小な寸法だけ大としたピッチで作られている。コイルばね24は円筒部25a、及び円筒部25aとは同直径の円筒部28aを有する円筒管28へ前述の方法によって固定可能となっている。コイルばね24のばね力はつっかい棒21を水平に置いた状態で、本例では、長手方向でコイルばね24の中央部をつっかい棒21に直角方向へ引く力は約8kgで円筒管25,28は水平線に対して夫々約30度となる程度である。
(第2のばね支持部材)
第2のばね支持部材30は円筒部28aを有する円筒管28と、戸当り側嵌合衝接部31aを有するこま31を有する。
(円筒管28)
円筒管28の一端には前述したコイルばね24の他端側が固定されている。この固定方法は既にのべたコイルばね24の一端側24aと円筒部25aの固定方法と同様であるので説明を省略する。
円筒管28の他端にはこま31が固定されている。この固定方法は固定部31bを円筒管28に圧入、又はかしめ、もしくは、これら両者である。また、こま31を円筒管28に嵌入してこれらを溶着してもよい。
こま31は先端に反戸当り側嵌合衝接部31aを設けてある。該嵌合衝接部31aは突起状の嵌合部31a1とこま31の固定部31bの端面である衝接部31a2を有する。嵌合部31a1は衝接部31a2につづく部分に根本があり根本から先端に向って先細となるテーパを有する。嵌合部31a1の根本はブラケット29の穴29bにゆるく嵌合する大きさである。衝接部31a2は円錐形の突部である。この円錐の頂角は大きい。衝接部31a2の円錐形の頂角が大きいことにより、後述の作用でのべる際に、ブラケット29の水平方向を向いた穴29bに嵌合部31a1が嵌合した状態で第2のばね支持部材30の構成材である円筒管28の傾動と共に反戸当り側嵌合衝接部31aの中心線がブラケット29の穴29bの中心線と交叉したとしても、衝接部31a2は穴29bの縁でブラケット29でストッパ部29cに接触する。これにより、ブラケット29に対する第2のばね支持部材30との係脱を円滑にしている。
上述したねじ部材23、長さ調節部材27、円筒管25、コイルばね24、円筒管28、こま31は自然状態(外力を加えない自由な状態)で一直線状に中心線を有する。
(操作部材)
図4、図7に示すように円筒管28には操作部材32が固定されている。操作部材32は円筒管28に固定された位置aから図4において右方へ向ってコイルばね24の長手方向にほぼ沿って配設されている。つっかい棒21を使用する際は操作部材32は上部にある。
図7に示すように、操作部材32の一端32aは円筒管28の円周方向に沿ってくら形に形成されて円筒管28の下側に回り込むようにしてある。そして、一端32aは円筒管28とは一端32aの穴と円筒管28の半径方向に貫通する穴とにブラインドリベット35を施工することにより不動に固定されている。
操作部材32には一端32aと同形状でコイルばね24を抱きかかえるようにばね保持片部32cが設けてある。ばね保持片部32cのつっかい棒21の長手方向に直角な断面形状は図7に示す一端32aとほぼ同形状である。
操作部材32の他端32bは指を掛け易いように上方へそらせて把手としてある。
上述した一端32a、ばね保持片部32cを除くと、操作部材32の長手方向に直角な断面は中心角が90度程度の円弧形状である。
操作部材32のばね保持片部32cはコイルばね24の長手方向のほぼ中央にある。そこで、ばね保持片部32cから把手となる他端32bまでの長さを選択することにより、コイルばね24を曲げる力を選択できる。操作部材32には錠前37を設けてもよい。この錠前37に上方から下方へ向ってかぎを回転すると、錠前37中のおねじが回転して下降し、円筒管25に設けた、めねじ25b(図6参照)にねじ込まれる。
(ブラケット)
ブラケット29は図2、図3に示すようにそのベース29aが外障子7とガイドレール3bとの間において外障子7の下框16又は戸当り框17に当接し固定されている。固定方法はベース29aに設けた穴29dを挿通してねじ部材(図示されない)を下框16又は戸当り框17にねじ込む(図示されない)。又は、穴29d、及び穴29dと同位置における下框16又は戸当り框17に穴29dと同径の穴をあけ、これらの穴を用いてブラインドリベットで固定する。
図6に示すようにブラケット29は上部から見てL形であって、ベース29aから折曲したストッパ部29cには反戸当り側嵌合衝接部31aの嵌合部31a1が嵌合する穴29bが設けてある。穴29bは該嵌合部31a1がゆるく嵌合する大きさである。
(作用)
図2、図4、図5、図6に示すようにつっかい棒21は外力を加えない状態においては直線状である。召合せ框12には戸当り部材22が固定されている。下框16又は戸当り框17にはブラケット29が固定されている。つっかい棒21は戸当り部材22とブラケット29間の装着部Sから取り外されているとする。
つっかい棒21の使用開始に当ってはブラケット29のストッパ部29cと戸当り部材22の端面22b間の距離Lに対してつっかい棒21の長さを調節する。つっかい棒21の長さは長さ調節棒27のナット34へのねじ込み量を調節して行う。そして、つっかい棒21のつば27dの端面(衝接部23a2)と、こま31の端面(衝接部31a2)間との距離を上記距離Lに一応合せる。
そして次に図8に示すように操作部材32の他端32b側である把手と第1のばね支持部材26を手でもって、コイルばね24を湾曲させる。これにより、つっかい棒21のねじ部材23の頭頂とこま31の嵌合部31a1の先端間の長さ、即ち、つっかい棒21のたわんだ長さδは距離Lより短くなる。この状態で、つっかい棒21を戸当り部材22とブラケット29間に挿入して、一方端の嵌合部23a1を戸当り部材22の穴22aに一致させると共に他端の嵌合部31a1をブラケット29の穴29bに一致させる。次に、操作部材32の他端32bである把手、第1のばね支持部材26を持っている手を緩め乍コイルばね24の湾曲をゆるくして行くと、一方端の嵌合部23a1は戸当り部材22の穴22aに挿入される。また、他方端の嵌合部31a1はブラケット29の穴29bに挿入される。そして、把手(32b)、第1のばね支持部材26を持っている両手からコイルばね24を曲げようとする力をぬくと、コイルばね24は真直となる。この際先ず嵌合部31a1をブラケット29の穴29bに嵌合しておくと取り付け易い。このとき、一方端の嵌合部23a1は戸当り部材22の穴22aに完全に進入して、衝接部23a2は戸当り部材22の端面22bに当接する。同様に他方端の嵌合部31a1はブラケット29の穴29bに完全に進入して、衝接部31a2はブラケット29のストッパ部29cに当接する。
なお、上記の他、つっかい棒21の一端を戸当り部材22、又は、ブラケット29に嵌入してから、コイルばね24を曲げて装着してもよい。
ここで、つっかい棒21の衝接部23a2と31a2間の距離が長さLよりも大であるとすると、衝接部23a2が戸当り部材22に当る力と衝接部31a2がブラケット29に当る力は等しい。この力を調節するにはつっかい棒21の操作部材32側を手で保持して長さ調節棒27の二面幅部27cにスパナを掛けて回転することにより行う。衝接部23a2,31a2間の距離はLに制限されているため、長さ調節棒27を回転するとコイルばねの線間に隙間がある場合はコイルばね24の圧縮たわみ量が変化する。よって、外障子7へブラケット29の取付位置を基準にして内障子6の召合せ框12は内障子6を閉める方向へ加圧される。つっかい棒21が戸当り部材22を加圧すると戸当り部材22は弾力があるので圧縮される。また、衝接部23a2,31a2間の距離をLをより小さくしてもよい。ただし、つっかい棒21が戸当り部材22、ブラケット29から外れない範囲に限られる。
上述のつっかい棒21の長さ調節が終わった後はつっかい棒21はブラケット29と戸当り部材22間の下枠3の装着部Sへ取り外し可能に装着されるものである。
戸当り部材22とブラケット29間にあって真直状態のつっかい棒21を取り外すには操作部材32の他端32b側の把手を持って持ち上げればよい。把手を持ち上げるとき、コイルばね24は曲りを強めて曲率半径が小さくなる。
このとき、ねじ部材23の頭の嵌合部23a1は戸当り部材22の穴22aへの嵌合の度合を浅くして行く。また、こま31の突起である嵌合部31a1はブラケット29の穴29bへの挿入深さを小さくして行く。そして、ねじ部材23の嵌合部23a1が戸当り部材22の穴22aから外れるか、こま31の嵌合部31a1がブラケット29の穴29bから外れるかして、つっかい棒21の一端の拘束が解かれた後に、手をゆるめると、コイルばね24が真直に復元してつっかい棒21は直線状となる。上記において把手を持ち上げてコイルばね24が湾曲した状態では、コイルばね24と下枠3間に空間ができるので、この空間からコイルばね24部分を指等で支えることにより、戸当り部材22の穴22aからねじ部材23の嵌合部23a1を先に外すか、ブラケット29の穴29dからこま31の突起である対開口嵌合部31a1を先に外すかを選択できる。
なお、戸当り部材22とブラケット29の間隔をつっかい棒21の長さよりも大きくすることにより内障子6の部分開を実現できる。即ち、上記距離Lをつっかい棒21の衝接部23a2,31a2間の距離よりも大きく設定する。また、上記実施例においても、長さ調節棒27のナット34へのねじ込み量を調節して内障子6の部分開を実現できる。
上記において、つっかい棒21は当初長さの調節をすれば、使用の度に調節する必要がない。装着部Sへのつっかい棒21の取り付けは操作部材32を用いてコイルばね24を湾曲させて装着する。
つっかい棒21の装着部Sからの取り外しは操作部材32を用いてコイルばね24を湾曲させて取り外す。このように、下枠3に沿ってコイルばね24又は戸当り部材22の弾力もしくは両者の弾力でつっぱっているため、内障子6はがたなく閉められており、ばね力で押されているので侵入盗がクレセントを破壊して内障子6に振動を加えても、がたつきもなく、閉じたままである。そして、侵入盗がつっかい棒21を見つけたとしても装着部Sが外障子7の下框16と下枠3の窓台3hのせまい条溝中にあるため、外し方を見出し難い。通常つっかい棒は端部を持ち上げて外すものであるため、仮に何等かの道具で調節棒27を持ち上げようとしたとすると、戸当り部材22とねじ部材23の嵌合で持ち上げられない。特に錠前37を施錠してあると全くつっかい棒は一体の棒となり持ち上がらない。また、第2のばね支持部材30の円筒管28を持ち上げようとしてもブラケット29とこま31が嵌合しているため持ち上げられない。上から見てコイルばね24は操作部材32で蔽われているので、コイルばね24は発見し難い。
上記実施例では、つっかい棒21を装着部Sから外した状態で内障子6を開くと内障子6の戸当り部材22はブラケット29に当り内障子6は部分開となる。
また、長さ調節棒27をナット34へねじ込み、つっかい棒21の長さを短くすると、内障子6は人が出入り出来ない程度に開いた部分開とできる。
つっかい棒21の長さが短かい場合に、内障子6をほぼ全開できるようにするためには図9に示す延長ロッド棒36を用いる。丸棒のロッド棒36は一端には戸当り部材22の穴22aにゆるく嵌合する嵌合部23a1と、戸当り部材22の穴底22cに衝接する衝接部23a2を有する嵌合衝接部23aを有する。丸棒の延長ロッド棒36の他端にはおねじ36aが設けてある。
延長ロッド棒36は長さ調節棒27からねじ部材23を外して、ねじ部材23がねじ込まれていためねじ27eにおねじ36aをねじ込み固定する。延長ロッド棒36を用いる場合のブラケット29は堅枠5のきわにおいて竪框である戸当り框17に固定する。
この延長ロッド棒36を用いたつっかい棒21は装着部Sから取り外すと内障子6をほぼ全開可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引き違い障子を内部側から見る正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】つっかい棒の側面図である。
【図5】つっかい棒の平面図である。
【図6】つっかい棒の側断面図である。
【図7】図4のC−C断面図である。
【図8】つっかい棒の使用状態を示す側面図である。
【図9】延長ロッドを用いる場合のつっかい棒及び延長ロッドの側面図である。
【符号の説明】
S…装着部
L…距離
1…開口枠
2…上枠 2a…ガイドレール 2c…ガイドレール
3…下枠 3b…ガイドレール 3c…ガイドレール 3d…外側材 3e…内側材 3f…周面材 3g…条溝 3h…窓台 3i…タッピング穴 3j…条溝
4…堅枠 4a…周面材
5…堅枠 5a…周面材
6…内障子
7…外障子
8…上框
9…下框
10…中框
11…堅框
12…召合せ框 12a…煙返し 12b…戸当り側材
15…上框
16…下框
17…堅框(戸当り框)
18…召合せ框 18a…煙返し
19…クレセント
20…中框
21…つっかい棒
22…戸当り部材 22a…穴 22b…端面 22c…穴底 22d…穴 22f…タッピングねじ
23…ねじ部材 23a…対戸当り側嵌合衝接部 23a1…嵌合部 23a2…衝接部
24…コイルばね 24b…他端側
25…円筒管 25a…円筒部 25b…めねじ
26…第1のばね支持部材
27…長さ調節棒 27a…端面 27b…おねじ 27c…二面幅部 27d…つば 27e…めねじ
28…円筒管 28a…円筒部
29…ブラケット 29a…ベース 29b…穴 29c…ストッパ部 29d…穴
30…第2のばね支持部材
31…こま 31a…反戸当り側嵌合衝接部 31a1…嵌合部 31a2…衝接部 31b…固定部
32…操作部材 32a…一端 32b…他端 32c…ばね保持片部
33…取付ねじ
34…ナット
35…ブラインドリベット
36…延長ロッド 36a…おねじ
37…鍵
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】


 強盗、空き巣、などの犯人の家宅侵入方法として一番 多発している、手口としてアルミサッシ窓に取り付けてある、クレセント錠を中心としたガラスをいろいろな道具を使い手が入る程の大きさに壊し窓の内側に取り付けてあるクレセント錠を開錠して、窓を開け中に侵入し窃盗に及ぶ事がもっとも素早い手口として横行している。そのための防犯対策としてもっとも有効な方法は窓を簡単に開閉させないことである。外から窓を開放させない方法として、日本家屋の引き違い出入り口に使われている文化として昔から用いられている「つっかい棒」を近代的に改良 開発したものがこの「防犯用つっかえ棒」である。この製品の特徴として着脱方法が容易で女性や子供などでも数秒で完了することができ尚且つ強固で窃盗犯が外から窓を開閉することは、非常に時間を必要とし犯罪者が犯行に及ぶ事を妨げるのに非常に有効であると思い試行錯誤と共にテストを重ねこの製品を開発いたしました。