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【裁判員3例目 結審(9)】裁判員見つめる中、更正誓う被告「自分はもう1人じゃない」 (1/4ページ)
このニュースのトピックス:裁判員制度
《昼の休廷を終え、法廷に戻ってきた裁判員。特に疲れた様子もないようだ。弁護人が午前中に引き続き、田嶋靖広被告(22)に質問を始める。6人の裁判員は、証言台の前に座った田嶋被告に視線を投げかけた》
弁護人「強盗強姦罪という重大事件で起訴されたわけですが、性犯罪が被害者にどういった傷を残すか、今は分かりますか」
被告「はい」
弁護人「具体的にどういった傷ですか」
被告「犯行当日に負う傷はもちろんですが、事件後も日常生活のなかで、自分と顔の似た人を見たり、当時と似た状況になったりしたときに、思いだして苦しむということです。周りとの温度差を感じて、孤独を感じてしまいます」
弁護人「事件当時は、被害者が苦しむことへの思いは至らなかったということですか」
被告「はい」
弁護人「それはどうしてですか」
被告「今まで人のことを考えたことがなかったからです。人を愛したり、思いやったり、痛みを感じることを考えていませんでした」
弁護人「人を愛せないのはなぜですか」
被告「幼いころから徐々に感情を殺していく中で、人に対する気持ちをどこかでなくしてしまいました。もし大切な人を失った場合、それは母や叔父のことですが、心が壊されたときの恐怖がよみがえってしまうので、人を思いやる気持ちをなくしていきました」
《女性裁判員が何度かうなずく。ほかの裁判員も真剣な表情で被告の話に聞き入っている》
弁護人「逮捕されてからは、そういった気持ちに気づいたわけですね」
被告「はい」
弁護人「どうやって気づきましたか」
被告「弁護士さんとの話や、差し入れてくれた性犯罪被害者の方が書いた本を読み、自分に何が足りないかを感じることができるようになりました」
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