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【裁判員3例目 結審(8)】「成人したので借金で“娯楽”」…裁判員はあきれ顔 (1/3ページ)
《弁護人による田嶋靖広被告(22)への被告人質問が続いている。両親が離婚し、母親に引き取られたものの、小学1年になると、その母親が病死してしまったという田嶋被告。これまでの不遇への「恨み節」が次々と飛び出した》
弁護人「高校を卒業した後に東京へ行くことになりましたね。そのとき、どういうことがありましたか」
被告「高校卒業間際で、皆、進路や就職で騒がしくなっていきました。私も専門学校に行きたかったのですが、周囲からは『県内から通えないのか』『おばあちゃんはどうするんだ』といわれて…」
「そのとき、叔父から手紙をもらいました。『お前が出たかったら出てこい』と背中を押してもらいました。それがあってから、周りもあまり言わなくなって、東京に出ることになりました」
弁護人「どう感じましたか」
被告「叔父だけが味方だと感じました」
《6人の裁判員はほとんど表情を変えない。質問に対する田嶋被告の答えに神経を集中させているようだ》
弁護人「叔父さんは今も生きていますか」
被告「いいえ。去年の2月に亡くなりました」
弁護人「どう感じましたか」
被告「心に大きな穴が開いたような、絶望感を感じました」
《弁護人は上京後の生活に質問をつなぐ。気持ちの高ぶりからか、田嶋被告の声は序盤より大きくなっていた》
弁護人「東京に出てどう感じましたか」
被告「背負わされた“しがらみ”も取れて、良い子の仮面も取れて、初めて自由を感じました」
弁護人「学校には通っていたのですか」
被告「最初の2カ月ぐらい通って、それからはアルバイトを掛け持ちして働いていました」
弁護人「どんな心境でしたか」
被告「自分の好きなことができて、今までにない自由を感じました」
《右から2番目に座る女性裁判員は、厳しい表情を崩さない。背筋を伸ばして質問に耳を傾けている》
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