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【裁判員3例目 結審(6)】「大人は何もしてくれない」…嗚咽する被告に裁判員は (3/4ページ)
弁護人「どうしてですか」
被告「明るく常に元気で振る舞っていれば同情の目、物珍しい目が薄れました。普通の子供として扱ってくれました。演じていました」
弁護人「演技していることを気付く人はいませんでしたか。本当に理解してくれる人はいませんでしたか」
被告「はい」
弁護人「理解してもらえるように何かしましたか」
被告「小さい自分の心では我慢しきれないことがいっぱいあって、大人に助けてほしいと思ったけど、自分が耐えて我慢するしかないと気持ちを固めていきました」
弁護人「周りの大人の目を意識していましたか」
被告「小学校6年生のときに同級生と、もめ事があって、相手の担任に呼び出されました。その友人とはいろいろあったので、今までの経緯を説明してわかってもらいたかったのですが、担任に『お前の話なんてどうでもいいから土下座しろ』といわれて押さえつけられて…」
《ここで、被告が正面から顔をそらしてうつむき、嗚咽(おえつ)を漏らした。祖母は「先生に注意されたことはない」と話していたが、被告が祖母に伝えていなかったつらい記憶があったようだ》
被告「すいません」
《傍聴席に戻っている祖母は、まっすぐ前を向いて被告の言葉に耳を傾けている》
被告「大人に何を期待しても、何もしてくれないし、大人は自分の考えでしか見てくれない。大人の言うことが絶対だと、このときに知りました」
弁護人「大人に本当はどうしてほしかったですか」
被告「わかったふりをしてほしくなかったので、ただ黙って話を聞いて温かく見守ってくれればよかったです」
弁護人「そういう大人はいなかった?」
被告「はい」
《被告の涙は収まったようだが、時折、鼻のあたりをふくしぐさを見せる。被告本人の口から幼いころの心境が初めて語られたためか、裁判員も仕切りにメモをとっていた。弁護人は続けて、被告の自殺願望について問いただしていった》
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