2009-09-04 ぶら下がり取材にまた麻生節
_ [てっちん]ぶら下がり取材にまた麻生節
麻生首相が、首相官邸でのぶら下がり取材に再び応じるようになった−という報道を昨日（３日）テレビニュースで見た。再開した２日に民主党の政権移行への協力要請について若手の記者たちが指示内容を聞くと「なるべく協力するように各省庁に連絡するように話した。官房長官がそう言わなかった」と逆質問した。さらに「裏取っているわけね。記者としてまとも。普段は裏取らずに書いているけど」とばっさり。首相指名選挙で麻生首相の名を書くことに反対があると聞かれると「あなたが聞くべき相手は党幹事長。麻生総裁ではありません」とやり返した。
その受け答えを見ていて、また“麻生節”が始まったと思った。そして皮肉たっぷりというか、人をばかにしているというか−大変不愉快だった。そんな態度だから国民に愛想をつかされたのだ。ざまー見ろと思った。
私が色眼鏡で見ているのかと思ったら、なんと今日（４日）のある大手新聞の記事のひとこまに落選した小坂憲次・元文部科学相が衆院選後の麻生首相の態度を「誠に不愉快」と厳しく批判している記事が掲載されていた。その理由として、記者団のぶら下がり取材への首相の受け答えの様子を挙げ「丁寧に対応してほしい。落選した人間が再起を期す気持ちを踏みにじるものだ」と述べていた。
政権を獲得した民主党は、日米問題や「八ツ場ダム」問題、小沢幹事長就任問題など早速マスコミの批判を浴びている。政権党になれば当たり前の洗礼だが、民主党に１票を投じた人たちの中には、「しまった」と思っている人もいるのではないか。特に、日本人は「判官ひいき」と言われる国民性を持っており、自民党の落選議員が報道される度に気の毒に思っている人も多い。今日の中国新聞の夕刊社会面「衆院選大敗で自民秘書、大失職に悩む」の記事を見て私も同情した。公設秘書だけで５００人以上が失職し、雇用保険もなく、この不況の時代に放り投げられている。
多くの関係者がこんな残酷な立場に立たされているのに、最も責任のある人は、ブログや自民党の会合などではおわびをしているが、全国民の目に触れる「ぶら下がり取材」で傲慢不遜な態度を見せている。こんな姿を見ると自民党に同情している人たちもやっぱり民主党に投票して良かったと思っているに違いない。
もしぶら下がり取材に麻生首相が「しっかり協力するように官房長官と話したんだよ。有終の美を飾りたいからね」「僕の名前を書きたくないのはよく分かる。みんなで別の方法を考えてほしい。迷惑かけた」などと答えたら、自民党から民主党に代わった人たちはけっこう後悔すると思うのだが。その辺のところを小坂元文科相をはじめ多くの自民党関係者は思っているはずだ。要は人生の機微が分からない人をトップに選んだ自民党は一時的にしろ崩壊せざるを得ないことになったのだと思う。
閑話休題。民主党の鳩山由紀夫代表が今日、内閣の要の官房長官に平野博文衆議院議員（６０）を決めた。平野氏は大阪１１区選出で、現在、役員室長を務めている。「鳩山側近３人衆」の一人だということである。若くて格好のよい議員が多い民主党にしては、「おっさん」然として重厚な感じである。政府と国民の間をつなぐスポークスマンとしての活躍を期待したい。