民主党比例東海ブロックから衆院選に出馬し、最下位で当選した磯谷香代子さん(43)が話題を集めている。無職の独身で、頭数を集めるために急きょ比例名簿に登録された経緯が、あの杉村太蔵前衆院議員にソックリとあって、ネット上では「第2のタイゾウ」などと呼ばれているのだ。ここにきて取材合戦も沸騰し、事務所は取材制限を設けるほどの混乱ぶりだ。
4年前の“タイゾウ・フィーバー”の記憶が強烈なためか、当選直後から磯谷さんの事務所にはマスコミ各社からの取材依頼が殺到。当初はいくつかの新聞の取材を受けたものの、ネット系のメディアまでもが“参戦”したため、「通常の業務ができない。取材のために議員になったわけではない」と事務所が悲鳴を上げる事態に。そのあおりで、OKの返事をもらっていた夕刊フジの取材もドタキャンされてしまった。事務所は3日にまとめて報道各社の取材を受け、記者会見も行う予定という。
磯谷さんは愛知県在住。大学卒業後、金融関係の会社に1年間勤務したが、両親の看病・介護のために退職。アルバイトやパートで生計を立ててきた。
民主の比例名簿に記載されることになったのは、谷岡郁子参院議員(民主、愛知選挙区)の手伝いをしたことがきっかけ。谷岡事務所の関係者は、「公示3日前になって、小沢一郎代表代行から『比例候補が足りない。誰かいないか』と言われて急きょ人選した。『仕事を辞める必要がなく、立候補に必要な住民票などをその日のうちに出せる人』という条件に合ったのが磯谷さんだった」と明かす。
想定外の出馬打診に、磯谷さんは「選挙運動を手伝ってくれと言われるのかと思っていた」「杉村太蔵クンのほうがまだマシ」などと漏らしたものの、結局、名簿の最下位に名前を連ねることに。
複雑な思いで名簿記載を受け入れたが、民主党は事前の予想通りの歴史的大勝で、磯谷さんにも議員の椅子が転がり込んできた。磯谷さんはその際の心情を「腰が抜けそうだった。青天の霹靂」と振り返っている。
あのタイゾウ氏でさえ、自民党本部の面接を受けて出馬したが、磯谷さんの場合は面接さえも受けていない。「泥縄」から「棚ぼた」の当選に対し、ネット上では厳しい声も出ているが、磯谷さん周辺は「彼女は“負け組”の代表。引きこもりの希望になれ」などと盛り上がっている。そうした声援を受け、本人も「将来にリアルな不安を感じている私が、当事者として声を上げていきたい」と意欲を示し始めているという。