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My Reischauer Interview  WIKIPEDIAと毎日新聞の名誉

2006/09/25 01:13

 

WIKIPEDIA(フリー百科事典)が私の項で以下のようなことを記載しています。古森義久の記者としての実績として、です。

 

古森義久は) 

「1981年、元駐日大使ライシャワーの核持ち込み発言(ライシャワーはこれを全面否定)」をスクープ報道した。

 

 

この記述はひょっとしたら私の名誉よりも毎日新聞の名誉を毀損するのでは、と感じました。

まず「ライシャワー核持ち込み発言」と聞いても、なにも知らない方が多いでしょう。

 

1981年、元駐日大使でハーバード大学の教授のエドウィン・ライシャワー氏は私とのインタビューで「日本政府の非核3原則により核兵器搭載の米軍艦艇は日本領海には入らないとされているが、実際には長年、核搭載の米海軍艦艇は日本の港湾にそのまま(核兵器を排除することなく)寄港している」という趣旨の発言をしました。結果として日本政府がウソをついてきたことともなりかねず、国会でも大議論となりました。

 

この「ライシャワー発言」は毎日新聞がスクープ報道として1面から2,3面をつぶして、大々的に報じました。私はこのとき毎日新聞記者でした。ボストン近郊のライシャワー氏自宅でインタビューをしたのは私でしたが、このインタビューの企画は当時の毎日新聞政治部の斉藤明部長(のちの社長)はじめ、新井敬司記者、河内孝記者ら精強が立案し、アメリカにいた私がその指示に従った形でした。毎日新聞はこの「ライシャワー発言報道」でその年81年の日本新聞協会賞を受賞しました。

 

「ライシャワー発言」報道がこうして高く評価された理由の一つはライシャワー氏自身が私に対する発言をその後の日米マスコミの取材でもすべてそのまま「肯定」したことでした。つまり「自分の発言も真意もすべて古森記者の報道どおりだ」と言明したのです。だからこそ新聞協会もこの報道の価値を認めたのでしょう。

 

ところがWIKIPEDIAの古森義久に関する記述では、あっさりと「ライシャワーはこれを全面否定」と断言しているのです。

発言したとされる当人がその発言の報道を全面否定したとすれば、その報道がデマだったということになりかねません。毎日新聞の報道もデマだろうということになります。だからこそ私は「毎日新聞の名誉」を指摘したのです。

 

しかしこのWIKIPEDIAの記述こそがデマなのです。古森への誹謗を浴びせたい一心から、無知からの思いこみで、こんな記述をしたのか。あるいは、事実を知っていながら、故意にこんな虚偽を書いたのか。もし後者ならば、すぐにばれるウソを必死で書くその心情はまた一段と哀れですね。

WIKIPEDIAの管理人さん、また私のこの提起をWIKIPEDIAへの中傷だとか、著作権侵害だとか、言わないでくださいよ。

WIKIPEDIA全体への批判ではありません。しかしこれほどのデマが簡単に載ってしまい、しかもそれが放置されること、このままでいいのですか。毎日新聞から「輝けるわが社の受賞報道を不当に否定し、わが社の名誉を傷つけた」なんて通告され、訴えでも起こされたら、だれがどう責任を負うのですか。デマ部分をあわてて削除して、「そんな記述はどこにあるのか」なんて、やめてくださいよ。

 

ライシャワー氏が毎日新聞での私の報道内容を否定したか、肯定したか、当時のどの新聞をみても簡単にわかるはずです。「ライシャワーはこれを全面否定」と書き込んだ人は、やはり実はその記述が虚偽であることを知りながら、とにかく古森誹謗の炎に煽られ、ウソ記載をしたという可能性の方が高いようですね。

いずれにしてもWIKIPEDIAの管理人の方々はそのデマ記載を止める意思も能力も知識もなかった、というのは言いすぎでしょうか。WIKIPEDIAが2チャンネルのような運命をたどらないことを祈る次第です。

 

なお「ライシャワー発言」の報道の経緯や事後の展開については私は自著の『核は持ち込まれたか』(文藝春秋1982年刊)で詳しく報告しています。

その書でも紹介しましたが、私は故ライシャワー氏とは最後まで良好な関係を保ちました。最後にライシャワー氏からの私あての手紙の一節を紹介しておきましょう。

 「--あなたの論文(インタビューの経緯を書いた雑誌論文)を真剣な興味をもって読みました。とてもすぐれた論文だと思います。あなたはその中で、私たちのインタビュー(核持ち込み発言が出たインタビュー)のいきさつを、公正さと綿密さをもってきちんと伝えていると思います。そしていうまでもなく私はこんどの出来事全体からあなたが引き出した結論に完全に同意します」

 

原文が英語のこの手紙はいまも保存してあります。

 

 

 

 

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コメント(14)

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2006/09/25 03:40

Commented by Hynkel さん

古森様、Wikipediaではすでに下記のように議論が始まっていますよ。
# 2.6 ライシャワー核持ち込み発言について
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88:%E5%8F%A4%E6%A3%AE%E7%BE%A9%E4%B9%85#.E3.83.A9.E3.82.A4.E3.82.B7.E3.83.A3.E3.83.AF.E3.83.BC.E6.A0.B8.E6.8C.81.E3.81.A1.E8.BE.BC.E3.81.BF.E7.99.BA.E8.A8.80.E3.81.AB.E3.81.A4.E3.81.84.E3.81.A6
ライシャワー発言が嘘だとなると、日本の反核運動史がひっくり返ることになります。原水禁、原水協、核禁会議もたいへんなことになります。ライシャワー発言は日本史の教科書に記載されていますので戦後史について全面書換えです。
ライシャワー発言により日本が結果的にアメリカ政府の思うようになった。だから古森はCIAのエージェントだという陰謀史を主張したい人なのでしょうが、底の浅さがしれてしまいます。
相手にしてはだめですよ。

 
 

2006/09/25 06:24

Commented by thinking さん

>しかしこのWIKIPEDIAの記述こそがデマなのです。
 然し、WIKIPEDIA とは好い加減だなー。
 陰謀に満ちている、下手をすると、泥沼にはまる。
 古森さん、やはり、WIKIPEDIA には注意して、
冷静に注視して、無視する所は無視して、そして、達観して、言うべき所はこのブログで
言うべきでしょう。

 
 

2006/09/25 07:00

Commented by 古森義久 さん

Hynkel様

ご助言、感謝します。
私がCIAだなんてデマは昔からあるのですが、証拠をみせてください、と言うと、そこで終わりのようです。
相手にするといっても、私も気楽にやっているので、だいじょうぶです。新聞記者としての職務のかたわらの息抜きのネット議論です。
でも
ご指摘の点や留意します。

 
 

2006/09/25 11:02

Commented by 古森義久 さん

thinking様

WIKIPEDIAとは一体、どんな人たちが編集作業にあたっているのか、知りたいところです。

 
 

2006/09/25 14:44

Commented by 平成退屈男 さん

古森様

>この記述はひょっとしたら私の名誉よりも毎日新聞の名誉を毀損するのでは、と感じました。
そのとおりですね。

Hynkel さん紹介のページ覗いてみました。何といったらよいのか…呆れてしまいます。

ライシャワー氏からの手紙の一節が事実を物語っていると思います。
>原文が英語のこの手紙はいまも保存してあります。
私信ですから公開はできないでしょうが、永久保存されますように。

 
 

2006/09/25 22:22

Commented by 古森義久 さん

平成退屈男さま

左翼デマゴーグたちの特徴の一つは自分たちの垂れ流すデマのデマたることを正面から指摘されると、知らん振りをして、他のテーマに論議をそらす、という手法のようです。

 
 

2006/09/25 22:44

Commented by 古森義久 さん

おもしろい発見です。
ここで私が指摘したWIKIPEDIAの記述がもう訂正されていました。こっそり、あわてて。

(ライシャワーはこれを全面否定)と書いた人間はもちろんどこかにいるわけですよね。
その記載を認めた人間もいるはずです。
そして私に指摘されると、あっという間に、そのデマを(日本政府はこれを全面否定)と書き換えた人間がいます。おそらく最初のデマを書いたのと同じ人間でしょう。
WIKIMEDIAに詳しいと称する方々、今回の上記の書き換えは誰がどのように認めた手続きでなされたのか、教えてくれませんか。

 
 

2006/09/25 23:28

Commented by Hynkel さん

Wikipediaは、誰でも書くことができるパブリックドメインの百科事典です。右や左の旦那様だけでなく、中道、ノンポリ、あらゆる人が執筆しています。
今回、訂正された方は、オープンプロキシを使って出鱈目を書き込んだ人とはまったくの別人です。Wikipedia執筆者のお一人として、誤りを訂正されたわけで、決して、コッソリ訂正されたわけではありません。
訂正に時間がかかるのは、どうしてもデマゴーグにより「悪魔の証明」に持ち込まれる事が多く、デマゴーグを引っ込ませるためにきっちり合議する必要があるためです。そうでないと、デマゴーグにより、すぐに戻されてしまいます。
Wikipediaは、性善説に則っており、悪意の排除にはたいへんに時間がかかります。ですので、出来るだけ多くの方に参加して頂くのが解の糸口かと思います。

 
 

2006/09/25 23:37

Commented by Hynkel さん

追記しますと、私もWikipediaの執筆者の一人です。ハンドルネームは敢えて別にしています。理由は、Wikipediaという言語空間のガイドラインに従う以上、ブログや掲示板の言語空間とは異なった見解を執筆をせねばならないからです。(まだまだ通常言語空間に引きずられていますが。)
私のWikiハンドルがなんであるかは見れば簡単にわかりますが、それなりに通常言語空間とWikipedia言語空間の切り分けの努力をしているつもりです。Wikipediaの執筆はたいへんに難しいと感じています。

 
 

2006/09/26 05:07

Commented by 古森義久 さん

Hynkel様

いやあ、非常に貴重なご教示です。
しかし疑問があります。
「訂正に時間がかかる」とのおおせですが、今回の場合の訂正はほんの数時間でなされています。明らかに私がここで「間違い」を指摘したことへの反応だと思います。
すでにWIKIPEDIAに記載されている文章の訂正、修正は執筆者の意思で、あっという間にできるように思えるのですが。
このへんの「執筆」「再執筆」のメカニズムはどうなっているのでしょうか。

 
 

2006/09/26 11:49

Commented by Hynkel さん

古森様
例えば、今回ご指摘のライシャワー発言ですが、「ライシャワー氏が核持ち込み発言をした」ことは、中学校の公民の教科書か、高校の現代社会の教科書に載っていたことです。(歳がしれるよ・・・)
また、日本政府がそれを否定したこと、ライシャワー氏が、後年、「いまは持ち込んでいませんよ」と言った事は様々な文献やNHKアーカイブスなどで発掘できます。
しかし、「ライシャワー氏がライシャワー発言を否定した」ということを書かれると、その真偽を確認するのに手間がかかります。今回の決定打は、ライシャワー発言をスクープした古森様が明確に「ライシャワー氏は発言否定をしていない」とブログにて証言した事ではないかと思います。
Wikipediaの三大方針は「中立な視点」「検証可能性」「original researchの排除」です。この三方針は議論の余地がないものであり、他のガイドラインや利用者同士での合意によって覆されるものではありません。
今回、デマを書いた人は、「検証可能性」に違反しています。しかし、「「検証可能性」に違反している事の立証」は、「悪魔の証明」になってしまい、排除に手間がかかるのです。
私も「ライシャワー氏がライシャワー発言を否定」という文をみて、「なんじゃそれは??」感じましたが、「ライシャワー氏の人柄からそれはあり得ない」では削除できず、「現在もライシャワー発言が原典として使われている」という点から、追い込むしか手がないのです。(ライシャワー氏の人柄を貶める行為で、非常に苦々しく思っていましたが。)
また、私の場合、古森様のブログにコメントを書いていることで「中立な視点」を保証する事が難しく、大幅に内容に手を加える事が難しくなっています。実際、「中立な視点」に反していると指摘されてしまいました。その為、私は現在も盛んに手を加えていますが、書式や語法、註釈の付加になるべく留めるようにしています。
なお、Wikipediaの執筆は誰でもできます。そして再執筆も誰もができます。意見が対立したら、「ノート」で議論をします。「管理者」の役割は、「荒らし」の排除や「保護」による「編集合戦」の停止(相撲の水入り)、著作権侵害のものを過去にさかのぼって履歴を含め削除などで、内容に関しての特別な権限は無いと考えて良いです。

 
 

2006/09/26 11:51

Commented by Hynkel さん

できましたら、下記だけでもご覧くださればよろしいかと思います。
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2
Wikipedia:基本方針とガイドライン
http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%96%B9%E9%87%9D%E3%81%A8%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3
英語版をリンクする事も考えましたが、日本語版独自のものもありますので。

 
 

2006/09/26 12:00

Commented by Hynkel さん

古森様を「自称ジャーナリスト」と中傷した文が載った件ですが、これの訂正も随分と時間がかかっています。
これは、中傷した人、それを除去した人の間で編集合戦が生じ、消す側が数と暇で負けていたことが主因です。
あとは、互いに頭に血が上っていた事、古森様に批判的な人、肯定的な人が入り乱れてしまったこと、クレモンス氏のことが更に加わったことなど、色々な原因があります。
私は、久しぶりに古森様のブログを訪問したところ、誹謗中傷のWikipediaをみて、こりゃぁアカンなぁと思って編集に加わった次第です。(泥沼化させてしまった点があり、反省点は多々あります。)

 
 

2006/09/26 12:20

Commented by 古森義久 さん

Hynkel様

ご丁寧な説明、心から感謝します。
とても勉強になりました。
私も実質ある政策論その他では他者を名指しで批判することは珍しくないですが、議論の本題とは関係ないことで、相手に悪口雑言を浴びせるようなことは、した覚えがありません。
だから他の人たちが単に人の誹謗だけを書くことには強い反発を感じたものですが、何事も慣れ、最近では少なくとも自分への悪口雑言は笑ってすませるようになりました。

いずれにしてもWIKIPEDIについて、いくらかはわかった気がします。

 
 
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2006/09/27 11:55

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