中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 政治 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【政治】

鳩山代表「反米」払拭に躍起 論文、メディアに波紋

2009年9月4日 朝刊

 民主党の鳩山由紀夫代表が「反米」イメージの払拭(ふっしょく)に懸命だ。米紙に引用された自身の論文に対し、米メディアで批判的な論調が広がっているからだ。

 鳩山氏が米側に警戒感をもたれたのは、月刊誌「Voice」9月号に寄せた論文の英訳版を、8月末のニューヨーク・タイムズ電子版が抜粋し掲載したことがきっかけ。

 抜粋では、鳩山氏が(1)米国主導のグローバリズムを否定的に評価(2)米国の影響力が低下する中で東アジアの経済統合と安全保障の枠組みを提唱−と強調された。次期首相の「米国離れ」とも映る姿勢に米メディアは否定的な反応を示した。

 鳩山氏は「一部だけとらえられている」と困惑。「反米的でないことは、全体を読んでもらえれば分かる」と火消しに躍起だ。

 実際、鳩山氏は元の論文で「日米安保体制は日本外交の基軸であり続ける」と強調。マニフェストでも外交姿勢のトップに「緊密で対等な日米同盟関係」を挙げた。

 ただ、一方で鳩山氏が事実上の対米支援として始まった海上自衛隊のインド洋での給油活動を年明けに停止する姿勢を示していることも事実だ。

 鳩山氏は首相就任後の9月下旬に訪米した際、オバマ米大統領と初の首脳会談を行いたい考え。「鳩山外交」は疑念解消から始まることになる。

 米政府は「民主党から提案がないうちは憶測しない」(国務省のメア日本部長)と、基本的には「鳩山論文」を静観する構え。だが鳩山氏への懸念は米メディアなどで強まっている。ワシントン・ポスト紙は1日付の社説で、鳩山氏を「経験の乏しい政治家」と切り捨て、「新政権は米国との関係を悪化させるべきではない」と警告した。

 キャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は2日の講演で「日本が自立を求めることは、緊密な同盟関係と矛盾しない」と強調。事態収拾に動きだしたが、当面は騒ぎが続きそうだ。

 (政治部・竹内洋一、ワシントン・岩田仲弘)

 

この記事を印刷する

広告
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ