青森出身の出稼ぎ労働者が解雇された腹いせに寮に放火、裁判員裁判の被告となる―。最高裁が制作した裁判員裁判の広報用映画をめぐり、被告の出身地とされた地元から「不名誉」と残念がる声が出ている。最高裁は「あくまでも架空の話」と説明するが、3件目の裁判員裁判開催地となった県民の心境は複雑だ。
映画は2007年完成の「裁判員 選ばれ、そして見えてきたもの」。男性会社員の主人公が審理に参加する裁判員裁判の被告は、「表津軽郡」という架空の土地だが青森県出身の設定で、なまりのある言葉で話す。
「津軽弁をばかにしている」。弘前大人文学部の裁判法の授業で、映画を見た学生がこんな感想を寄せた。飯考行准教授は授業で上映する際「青森県には失礼な内容ですが」と前置きする。
最高裁は「県民の心情を害するような表現があったとすれば申し訳ない」とする一方で「一つの映画として見ていただき、裁判員裁判の理解を深めてもらえればありがたい」としている。〔共同〕(15:47)