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変わるか暮らし−政権交代で県内は(2)大学の拡充…実現には長期間 静岡

2009.9.4 02:31

【2】医療政策−医学部生を1・5倍に

 静岡市内にある総合病院。ハルミさん(32)は、次男をベビーカーに乗せて1カ月検診に訪れた。夫は会社員、2歳の長男の出産をきっかけに幼稚園教諭の仕事をやめ、専業主婦になることを決意した。

 妊娠中、体調を崩して腸閉塞(へいそく)で入院した。診察は午前中だけにもかかわらず、40代の女性担当医は午後5時ごろまで診てくれることもあった。慌ただしく走り回る医師に驚いたという。「手術の直後に診てくれたり、時間を割いてくれるのはうれしいが、医師が足りていない印象だった」と話す。

 退院後、病状が胎児に及ぼす影響が心配になり、電話で病院に問い合わせた。「診察に行くほどではないが、すぐに先生から返事をもらえないことが多く、不安だった」。民主党が主張する、医学部学生を1・5倍に増やす▽医師数を先進国並みにする▽看護師などの医療従事者も増員する−という方針に賛成の立場だ。

 「個人クリニックは、診察まで1時間待ち。子供が熱を出したとき、すぐに診てくれるところがほしい」。これまでの自民党政権が医師不足解消に熱心だったとは思えない。それだけに、医療現場の窮状に目を向け、マニフェストに盛り込んだ新政権には多少期待をしてもいいのかな、と感じている。

 ハルミさんのように医師の増員方針を歓迎する患者とは対照的に、医療関係者のケンイチさん(48)は「医学部学生の1・5倍増計画」に疑問を隠さない。

 本県の人口当たりの医師数は少なく、全国ワースト4位。特に医師が足りない志太榛原地区では、民営化を予定している榛原総合病院(牧之原市)の引き受け手が決まらず、掛川市と袋井市では市民病院同士の統合を模索中だ。富士市でも、年間約500件のお産を扱う市立中央病院の産科が新規受け入れを一時中止するなど、地域の中核病院の機能低下は著しい。このように、医師や医学部生が不足しているのは他県でも変わらない。

 「本気で医学部生を1・5倍にするのなら、自治体同士で医大を取り合うことになる。新しい大学を設けるのに約5年間、学部とインターン期間で8年を費やす。簡単に実現できるものではない」とみている。

 さらに、民主党政権がいつまで命脈を保つのか。政権が代わるたびに方針が変わるようでは、将来を見越した養成策を地道に続けなければならない医師の増員は実現しない。

 単純に医師数を増やせばいいわけでもない。診療科の偏在、医師数の地域間格差と問題は山積している。

 「先を見据えた、見識のある改革が必要」とケンイチさん。じっくりと腰を据えて10年、20年先の医療を考えながら練る長期計画と、今すぐ必要なところに必要な医師や予算を割り振る実行力。地域医療再生には、双方のバランスを取りながら政策のかじを取る新政権の手腕が試される。(文中のカタカナ名は仮名)

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