鹿児島県鹿屋市と同市医師会(池田徹会長)は3日、広域的な小児救急医療態勢を確立するため「大隅地域夜間急病センター」(仮称)を、来年度中に市内に設置する、と発表した。夜間・休日の小児救急医療を開業医と基幹病院で役割分担する独自の医療態勢が限界に近づいており、開業医の負担を軽減する狙い。夜間救急専門の施設は、県内では鹿児島市に次いで2番目になる。
同センターは公設民営とし、3人程度の常勤医師で小児・内科患者に対応する方針。設置場所は検討中。医師確保や運営では周辺の自治体、医師会と連携する考えで、同市を含む3市5町の9月議会に、センター開設に向けた協力などを盛り込んだ協定案が提案される。
同市医師会は、大隅地域で唯一、小児入院施設がある県立鹿屋医療センター(鹿屋市)の負担を緩和するため、夜間・休日の軽症患者は当番医が対応し、重症患者を医療センターへ送る態勢を2001年から取っている。
しかし、態勢が市民に浸透するとともに夜間・休日の受診者が急増。現在は小児・内科の医師23人の当番医で、年9500人の患者に対応している。「医師の判断では急病でない患者が9割」(池田会長)といい、2割を占める周辺市町からの受診も医師の負担を増しており、同市医師会が同市に対策を求めていた。
鹿屋市役所で会見した池田会長は「ほかの医師会や自治体と協力し、救急医療を維持したい。電話相談などを充実させて、不要不急の時間外受診を抑える取り組みも必要だ」と話した。
=2009/09/04付 西日本新聞朝刊=