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戦闘ヘリ発注中止「500億円払え」 富士重工、請求へ

2009年9月2日3時0分

 富士重工業は1日、戦闘ヘリコプターを発注した防衛省に対し、500億円弱の支払いを求める文書を提出する方針を固めた。米国企業に払った生産ライセンス料を発注機数で割って国から回収しようとしたが、同省が当初計画数に達しないまま発注を中止。回収できなかったライセンス料などは、本来国が負担すべきものだと主張する。

 文書は月内に防衛相あてに出し、2〜3カ月間で支払いの意向が得られなければ、民事訴訟を起こす構えだ。機密管理の必要性などから、国と少数の企業が「蜜月」関係を保ってきた防衛業界で、企業側が国に「反乱」を起こすのは極めて異例だ。

 防衛省は01年、戦闘ヘリ「AH64D(愛称アパッチ・ロングボウ)」を62機導入することを決定。生産を担う富士重と関連部品メーカーは、米ボーイング社へのライセンス料など四百数十億円を払った。富士重は、これを62分割して1機ごとの代金に上乗せし、国から回収する予定だったが、防衛省は02〜07年度に計10機を発注した後、発注を打ち切った。1機約80億円という購入費に対し、政府内で高額だとの批判が上がるなどしたためという。

 富士重はその後、防衛省に「ライセンス料などの初期費用は本来、国が支払うべき経費。業界の慣行上も国が支払ってきた」と主張。一方、防衛省側は「国会の承認に基づいて単年度ごとに契約しており、富士重に何らの債務も負っていない」と反論。話し合いは平行線をたどってきた。

 10年度の概算要求でも防衛省がアパッチの予算計上を見送ったため、富士重は「今後の受注が復活することはない」と判断。未回収のライセンス料約400億円に加え、すでにボーイング社から購入した3機分の部品代金100億円弱も請求する。(大日向寛文)

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